キャプチャカードVSテレビ 遅延対決

ビデオキャプチャカードの処理に遅延があることはみなさんご存知だと思います。
その対策(遅延対策)のために分配器を使ってテレビとキャプチャカードに分けてテレビ画面を見ながらゲームをしましょうと言われています。

キャプチャカードに遅延があることは本当ですが、現在主流の液晶テレビにも遅延は存在します。本来ならそれぞれの遅延がどの程度か調べ、大きい方の遅延から対策をとるのがスマートです。
そこで、液晶テレビの遅延、PC用液晶モニターの遅延、キャプチャカードの遅延について検証したいと思います。

PC用液晶モニターにも遅延がありますが、一般的に液晶テレビより少ないと言われていますので「キャプチャカード+PC用液晶モニターの遅延」と分配した「液晶テレビの遅延」では液晶テレビの遅延の方が大きくなり分配する意味がないケースもあるかもしれません。そのあたりも検証していきます。


■検証方法
前回と同じくくるくるベンチの映像をHDMI分配器で2系統にわけて表示します。
一方を直接液晶テレビ(REGZA 32ZP2)に表示します。
もう一方をSC512でキャプチャしアマレコTVでプレビュー、PC用液晶モニターXL2420Tで表示します。
くるくるベンチ For Direct Draw

テストの様子

テレビ比較概要図 



■検証に使った機材
検証に使った機材
機材品番等設定など
PCモニター(左側)BenQ XL2420TAMAオフ
インスタントモードON
液晶テレビ(右側)東芝 REGZA 32ZP2映像メニュー「ゲーム」
HDMI分配器LKV312 
カメラCASIO EX-ZR300秒間480コマで動画撮影



テスト1(液晶テレビとPC用液晶モニターの比較)
キャプチャカードを使わず純粋に液晶テレビとPC用液晶モニターの遅延を比較します。
液晶テレビは東芝のREGZA 32ZP2を使いました。これは32型の倍速液晶で、ゲーム用に遅延の少ない液晶テレビとして高く評価されている製品です。 メーカー公称値として処理遅延0.7フレームを誇ります。


テスト2(キャプチャした場合の比較1080p)
SC512でキャプチャしアマレコTVでプレビュー、XL2420Tで表示したものと液晶テレビを比較します。
キャプチャ環境はEVRのソフトウエアエミュレーションを使い、画面を120Hzに設定。
これはWindows7でもっとも遅延が少なくなる設定です。
以降キャプチャ側はすべてこの条件になります。720pのテストもキャプチャ処理が720pになるだけでキャプチャ用PCの画面設定は1920x1080 120Hzのままです。


テスト3(キャプチャ比較720p)
くるくるベンチを実行しているPCを1280x720 60pに設定しての検証です。
実際のゲーム機やキャプチャ環境では720pが主流ですのでより実践的な検証となります。
32ZP2の公式サイトを見ても遅延が少ないのは1080pの場合と但し書きがされていますので720pの場合はどうなるでしょうか。
実際の使用環境に最も近いのでより詳しく、真っ白の状態から黒く画面が変化する際の検証もします。


テスト4(キャプチャ比較720p Dot by Dot)
液晶テレビのズーム設定を「Dot by Dot」にして検証します。
液晶テレビ側にてスケーラーを使わないことで遅延を減らすことができるでしょうか。


■結果
テスト1(液晶テレビとPC用液晶モニターの比較)
CIMG0241分配[5923-5934]
液晶テレビ32ZP2はPC用液晶モニターXL2420Tより5コマ(約10.4ms、約0.62フレーム)遅れています。

XL2420TはPC用モニターとして1位,2位を争う遅延の少ないモニターなのでゲーム用に定評のある32ZP2であってもこれくらいの差がついてしまうようです。
32ZP2と同じシリーズで画面サイズが一回り小さい26ZP2という製品があるのですが、26ZP2は60Hz液晶パネルの製品で処理遅延の公称値が0.2フレームと32ZP2より0.5フレーム少なくなっています。このテレビであればXL2420Tと良い勝負になるかもしれません。



テスト2(キャプチャした場合の比較1080p)
CIMG0242キャプ1080EVRS120[10821-10832]
キャプチャ側が32ZP2より6コマ(約12.5ms、約0.75フレーム)遅れています。

1080pの場合の遅延はこの程度と言えますが、実際は1080pでキャプチャするケースはまだまだ少ない(1080p対応のゲームはごく一部、また1080pでキャプチャできるキャプチャカードはまだまだ高価)のでこの結果はあまり重要ではありません。現在は720pが主流ですので液晶テレビ側にスケーラーなどの処理が加わるため、差が縮まる可能性があります。



テスト3(キャプチャの比較720p)
CIMG0243キャプ720EVRS120[5385-5396]
キャプチャ側が32ZP2より4コマ(約8.3ms、約0.5フレーム)遅れています。

1080pの時より遅延の差が縮まりました。やはり液晶テレビにとって720pのビデオ信号はやや不利に働くようです。
32ZP2の処理遅延0.7フレームと言うのは1080pの場合と但し書きがされている通り、ビデオ信号が変わってくると処理遅延も変わるようです。今回の検証では720p時の32ZP2の処理遅延は0.7+0.25=0.95フレームとなります。
※ 0.25フレームはテスト2とテスト3の結果の差から算出

もう一つ真っ白な状態から真っ黒に変わるケースでの検証結果です。
白黒遅延CIMG0243キャプ720EVRS120[5466-5477]
キャプチャ側が32ZP2より2コマ(約4.1ms、約0.25フレーム)遅れています。
また、黒くなり始めるタイミングではなく真っ黒になるまでを観察するとほぼ差がないかキャプチャ側がやや早い結果となっています。

液晶の反応速度まで考慮すると720pの場合においてキャプチャした画面と液晶テレビとで遅延の差はほとんどないと言えます。



テスト4(キャプチャの比較720p Dot by Dot)
CIMG0244キャプ720EVRS120DbD[1451-1462]
720pで液晶テレビの遅延が増えた原因がスケーラーなのかどうか判断するため32ZP2のズーム設定を「Dot by dot」(以下DbD)にした結果です。

キャプチャ側が32ZP2より2コマ(約4.1ms、約0.25フレーム)遅れています。
意外にもDbDにしたらさらにテレビ側の遅延が増えてしまいました。

ここからは憶測になりますが、32ZP2では720pが入力された場合次の通りになるようです。
(1) 1080pと比べ720pはズーム設定にかかわらず一律、約0.25フレーム遅延が増える
(2) ズーム設定による遅延の差はほとんどない。
(3) DbDでは画面の周囲の黒帯を表示する分だけ画面上端の開始タイミングが約3ms遅れる



■まとめ
今回の検証ではビデオキャプチャのプレビュー表示と分配した液晶テレビの表示では遅延に大きな差は生じないと言えるのではないでしょうか。 ビデオキャプチャだから遅延するという認識ではなく、遅延に関してはキャプチャカードや液晶テレビなど個々の製品の性能差に注目したほうがいいように思います。

例えば今回使った液晶テレビ32ZP2は遅延の少なさに定評がある製品ですが、他社の液晶テレビの大半は2フレーム(約33ms)以上の遅延があると言われています(東芝製の液晶テレビでも遅延の大きい製品はあります)。 それでは完全に分配する意味がありません。
同様にビデオキャプチャカードのSC512(SC500)も仕組み上最速で動作しており無駄な遅延がありませんので分配する効果は薄いですが、GV-USB2ではキャプチャカード単体の遅延で64ms程度となってしまいます。この場合は分配する
効果が大きくなります。

すでに所有している液晶テレビの遅延が2フレーム(約33ms)以上と大きい場合は分配器を用意するよりPC用液晶モニターを遅延の少ないものに買い替えた方が良いかもしれませんね。


テーマ : PC周辺機器     ジャンル : コンピュータ
 
 
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