AMV2MTとAMV4の違い まとめ
AMV4ビデオコーデックと同じRGB、YUY2に対応したAMV2MTとAMV4の違いを表にまとめました。
AMV2MT Ver2.20i | AMV4 Ver4.00 | AMV4補足 | |
対応OS | Windows | Windows7 SP1 Windows8.1各64bit版のみ | 新しいOSのみ対応 32bit版のOSでは 動作確認を行っていません |
CPU拡張命令 | SSE2 | SSE4.1 AVX2.0 | SSE4.1必須 AVX2が使える場合は 自動的にAVX2を使います |
対応プロセス | 32bitアプリのみ | 32bitアプリ 64bitアプリ | 64bitOS完全対応 |
マルチスレッド | 1から8 | シングルスレッドのみ | シングルスレッドで 十分リアルタイム処理が可能 |
圧縮モード | 高速可逆 標準可逆 標準(非可逆) 高圧縮(非可逆) | 標準可逆 高圧縮可逆 | 可逆のみ |
圧縮効果 | 低め | 高め | 可逆圧縮でもAMV2MTの |
処理速度 | 速い | 全体的にもっと速くなる | AMV2MTと比べ SSE4版:やや速くなる AVX2版:大幅に速くなる デコード処理は最大で約3.4倍高速 |
最少画像サイズ | 80x40 | 96x48 | |
画像サイズ | 横8、縦4の倍数 | 横2、縦2の倍数 | |
RGB・YUY2変換 色サンプリング | 左右の平均値 | 左側の画素 | |
入力 フォーマット | RGB32 RGB24 RGB16(R5G6B5) YUY2 UYVY HDYC | RGB32 RGB24 YUY2 UYVY | RGB16とHDYCを廃止 |
圧縮 フォーマット | RGB24 YUV444 YUY2 | RGB24 YUY2 | YUV444を廃止 |
出力 フォーマット | RGB32 RGB24 YUY2 | RGB32 YUY2 | RGB24を廃止 |
FourCC | ‘AMM2’ | ‘AMV4’ | |
ハーフサイズ | ○ | × | |
プロファイル | ○ | × | |
インターレース画像 | ○ | × | |
ライセンスキー | 共通 | 共通 | AMV2、AMV2MT、AMV3、AMV4 で共通 |
もっと詳しい違いについては次の記事を見てください。
AMV4ビデオコーデック 内部仕様でみるAMV4とAMV2MTの違い
AMV4ビデオコーデック ベンチマーク暫定版 もはや反則AVX2編
テスト条件は前回のSSE編と同じですのでパソコンのスペック以外は以前の記事を参照してください。
AMV4ビデオコーデック ベンチマーク暫定版 SSE編
なお、AMV4ビデオコーデックについては開発途中のバージョンによるテストですので、
最終的なバージョンと異なる場合があります。
完成後にもう一度ベンチマークをやり直し結果を掲載しますのでそちらも確認してください。
【ベンチマーク条件】
パソコンのスペック以外はSSE編と同じ
AMV4ビデオコーデック ベンチマーク暫定版 SSE編
OS | Windows8 x64 Professional |
CPU | Intel(R) Core(TM) i7-4770 CPU @ 3.40GHz Haswell |
MB | ASRock H87 Performance (Intel H87) |
Memory | DDR3 1600 16GB(8GBx2 Dual Cannel)read=25.4GB/s write=14.8GB/s |
Software | Video Codec Test 2.0.0 |
備考 | CPUは4コア、8スレッド、HTT対応、AVX2対応。動作クロックを3.4GHz(定格)で固定し、 省電力設定およびTurbo BoostはBIOSで無効化、動作クロックがテスト中に変動しないようにしています。 |
【ベンチマーク結果】
レベル | エンコード | デコード | 圧縮効果 | 備考 | |||
時間 | FPS | 時間 | FPS | ||||
AMV2MT 32bit SSE2 | Y1 | 0.60 ms | 1648 fps | 0.80 ms | 1238 fps | 1.15 | YUY2可逆 |
Y2 | 1.24 ms | 801 fps | 1.90 ms | 523 fps | 2.09 | YUY2可逆 | |
Y3 | 1.81 ms | 551 fps | 2.64 ms | 377 fps | 2.78 | YUY2非可逆 | |
Y4 | 3.73 ms | 267 fps | 4.37 ms | 228 fps | 3.67 | YUY2非可逆 二次圧縮あり |
レベル | エンコード | デコード | 圧縮効果 | 備考 | |||
時間 | FPS | 時間 | FPS | ||||
AMV4 32bit SSE4.1 | DY2 | 1.09 ms | 910 fps | 1.17 ms | 850 fps | 2.52 | YUY2可逆 |
DY3 | 1.84 ms | 541 fps | 1.84 ms | 542 fps | 3.09 | YUY2可逆 二次圧縮あり | |
AMV4 64bit SSE4.1 | DY2 | 1.11 ms | 900 fps | 1.08 ms | 925 fps | 2.52 | YUY2可逆 |
DY3 | 1.78 ms | 558 fps | 1.66 ms | 601 fps | 3.09 | YUY2可逆 二次圧縮あり |
レベル | エンコード | デコード | 圧縮効果 | 備考 | |||
時間 | FPS | 時間 | FPS | ||||
AMV4 32bit AVX2 | DY2 | 0.84 ms | 1189 fps | 0.64 ms | 1557 fps | 2.52 | YUY2可逆 |
DY3 | 1.21 ms | 825 fps | 1.17 ms | 854 fps | 3.09 | YUY2可逆 二次圧縮あり | |
AMV4 64bit AVX2 | DY2 | 0.72 ms | 1386 fps | 0.55 ms | 1790 fps | 2.52 | YUY2可逆 |
DY3 | 1.07 ms | 931 fps | 0.97 ms | 1029 fps | 3.09 | YUY2可逆 二次圧縮あり |
※ 時間、FPS:1フレーム処理するのにかかった時間、FPSは1秒間に何フレーム処理できるかを示しています。この2つは同じ情報です。FPSの数値が大きいほど優れています。
※ 圧縮効果:未圧縮に対しデータ(ファイルサイズ)を何分の1に圧縮できるかを示しています。数値が大きいほど優れています。
例 圧縮効果が2.00の場合、未圧縮で録画した場合と比べファイルサイズを半分(2分の1)に減らす能力があります。
処理速度と圧縮効果について
圧縮効果についてはSSE版とAVX2版とで同じ結果となりますので前回のSSE編を参照してください。
処理速度についてはAMV2MTとAMV4 64bit AVX2版を比較します。
Y2とDY2を比較するとDY2の方がエンコード処理で約73%、デコード処理で約242%(3.4倍)性能が向上しています。
Y3とDY3を比較するとエンコード処理で約68%、デコード処理で172%(2.7倍)の性能向上となっています。
なお、AVX2 32bit SSE版のDY3のエンコードがY3より1%程度遅い結果となっています。前回のIvy BridgeでのテストではDY3の方が約8%速い結果となっているので、Y3とDY3のSSE版はCPUの違いにより優劣が入れ替わるくらいの僅差と言えます。
まとめ
以前公開したAMV2MTデコーダーのAVX2対応デモ版で3倍速いというのを示しましたが、
「3倍高速 AVX2対応 AMVデコーダー デモ版」
「AVX2対応 AMVデコーダー デモ版の追試」
AMV4はさらにその上を行く3.4倍の性能(デコード処理)に達します。これはデモ版の時はAMV2の仕様に合わせてコーディングする必要があった(AMV2の仕様は2008年にSSEを前提に作成したのでAVX2には向かない部分が含まれる)のに対し、AMV4ではAVX2の特性に合わせ仕様の作成段階から取り組んだためです。
その結果、仕様とコーディングの両面でAVX2の性能を 相当高いレベルまで引き出せたと思います。
AMV4のAVX2版を簡単にまとめると
(1) エンコード処理の処理速度が約70%程度向上する
(2) デコード処理の処理速度が200%程度向上する
(3) 可逆圧縮の圧縮効果がDY2で最大約20%、DY3で平均約50%向上する
(4) AVX2が使えるPCでは処理速度と圧縮効果の両面で大幅に性能が向上する
※ 記事の内容は開発中のものです。公開時の仕様と異なる場合があります。
最終的な仕様については、公開時の記事を見てください。
AMV4ビデオコーデック ベンチマーク暫定版 SSE編
Ivy BridgeではAVX2命令が使えないためAMV4のSSE版とAMV2MTを比較します。
なお、AMV4ビデオコーデックについては開発途中のバージョンによるテストですので、最終的なバージョンと異なる場合があります。完成後にもう一度ベンチマークをやり直し結果を掲載しますのでそちらも確認してください。
【ベンチマーク条件】
基本的には以前のベンチマークと同様のテストとなります。
ビデオコーデック・ベンチマーク2012夏(2012.9.4修正版)
タイトル | Mystery of the Nile |
情報 | 1280*720、2082frames、1分26秒、3,837,598,360Byte |
備考 | AviUtlを使ってYUY2未圧縮に変換 |
OS | Windows7 x64 Professional SP1 |
CPU | Intel(R) Core(TM) i5-3470S CPU @ 2.90GHz Ivy Bridge |
MB | ASRock H77 Pro4-M (Intel H77) |
Memory | DDR3 1600 16GB(4GBx4 Dual Cannel)read=23.5GB/s write=11.8GB/s |
Software | Video Codec Test 2.0.0 |
備考 | CPUは4コア、マルチスレッドテクノロジーには対応していません。動作クロックを2.9GHz(定格)で固定し、省電力設定およびTurbo BoostはBIOSで無効化、動作クロックがテスト中に変動しないようにしています。 |
コーデック名 | バージョン | 32bit | 64bit | 設定 |
AMV2MT | 2.20i | ○ | × | 製品版(ロゴなし) |
AMV4 | 開発途中 | ○ | ○ | ロゴなし |
以前のベンチマーク環境とほぼ同じ内容となりますが、次の3点が異なります。
・メモリーが4x2GB(計8GB)から4x4GB(計16GB)に増えた
・ベンチマークソフトのバージョンが上がった
・AMV2MTの試用状態(ロゴ挿入)ではなく製品版(ロゴなし)によるテスト
補足1 圧縮効果の有効桁数について
ベンチマークソフトのバージョンが変わったことで、より細かい数値まで表示されるようになりました。
この部分は今まで小数点第3位を四捨五入して小数点第2位まで表示していたと思いますが、今回から私が数値を読み取る際に小数点第2位未満を切り捨てています(小数点第3位を四捨五入しない)。
補足2 ロゴの有無による圧縮効果の違い
今回はAMV2MTの製品版を使ってテストしています。そのため試用版のロゴが入らないので圧縮効果の数値が微妙に変わってきます。 また、エンコード処理においてもロゴ挿入処理が無いため以前の記事よりわずかに速い結果が出ます。
ロゴの有無 | 圧縮効果 | 圧縮後のサイズ / 未圧縮のサイズ |
ロゴあり | 2.79 | 1377776170 / 3837542400 |
ロゴなし | 2.78 | 1379777362 / 3837542400 |
このような事情によりテストの本質は以前の記事と同じですが、完全に一致するはずの圧縮効果(圧縮比)の数値がわずかに異なる場合があります。
【ベンチマーク結果 】
レベル | エンコード | デコード | 圧縮効果 | 備考 | |||
時間 | FPS | 時間 | FPS | ||||
AMV2MT 32bit SSE2 | Y1 | 0.74 ms | 1340 fps | 1.00 ms | 992 fps | 1.15 | YUY2可逆 |
Y2 | 1.61 ms | 617 fps | 2.47 ms | 404 fps | 2.09 | YUY2可逆 | |
Y3 | 2.48 ms | 401 fps | 3.32 ms | 300 fps | 2.78 | YUY2非可逆 | |
Y4 | 4.89 ms | 204 fps | 5.42 ms | 184 fps | 3.67 | YUY2非可逆 二次圧縮あり | |
AMV4 32bit SSE4.1 | DY2 | 1.29 ms | 772 fps | 1.40 ms | 712 fps | 2.52 | YUY2可逆 |
DY3 | 2.29 ms | 436 fps | 2.23 ms | 447 fps | 3.09 | YUY2可逆 二次圧縮あり | |
AMV4 64bit SSE4.1 | DY2 | 1.26 ms | 793 fps | 1.17 ms | 851 fps | 2.52 | YUY2可逆 |
DY3 | 2.16 ms | 462 fps | 1.81 ms | 549 fps | 3.09 | YUY2可逆 二次圧縮あり |
※ 時間、FPS:1フレーム処理するのにかかった時間、FPSは1秒間に何フレーム処理できるかを示しています。この2つは同じ情報です。FPSの数値が大きいほど優れています。
※ 圧縮効果:未圧縮に対しデータ(ファイルサイズ)を何分の1に圧縮できるかを示しています。数値が大きいほど優れています。
例 圧縮効果が2.00の場合、未圧縮で録画した場合と比べファイルサイズを半分(2分の1)に減らす能力があります。
処理速度について
AMV2MTのY2とAMV4のDY2(32bit版)を比較するとDY2の方がエンコード処理で約25%、デコード処理で約76%性能が向上しています。 また、Y3とDY3を比較するとエンコード処理で約8%、デコード処理で約49%の性能向上となっています。
圧縮効果について
Y2とDY2を比較するとDY2の方が約20%性能が向上しています。 ただし、映像の内容によってはほとんど向上しない場合もあります。最大約20%向上すると捉えてください。
傾向としては、Y2の圧縮効果が低い場面においてDY2の圧縮効果が向上します。 一方、Y2の時点で高い圧縮効果が得られる場面ではY2とDY2はほぼ同じ圧縮効果となります。
続いてDY3についてですが、同じ可逆圧縮のY2と比べると約47%の性能向上という結果になりました。 こちらは映像の内容によってはもっと高い性能向上が期待できます。
まとめ
最近はAVX2の話を中心にしてきましたが、 AMV4のSSE版も圧縮効果の向上とデコード処理の大幅な高速化となりますので、AMV2MTより高性能なコーデックと言えるものとなります。
AMV4のSSE版を簡単にまとめると
(1) エンコード処理は同程度か若干速くなる
(2) デコード処理は大幅に高速化される
(3) 可逆圧縮の圧縮効果がDY2で最大約20%、DY3で平均約47%向上する
(4) AVX2が使えないPCでも確実にAMV2MTより高性能となる
※ 記事の内容は開発中のものです。公開時の仕様と異なる場合があります。
最終的な仕様については、公開時の記事を見てください。