マイコンソフトXCapture-1用新ドライバを試してみました
XCapture-1
SC-512N1
今回はXCapture-1のドライバの改善点とVideoKeeper2の新機能である「CUDAによるGPUエンコード」を試してみます。以前の記事「USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた」と合わせてご覧ください。
1.XCapture-1用新ドライバ Ver1.1.0.123.4

設定項目がいくつか増えています。

画像の調整(画質調整)もできるようになっています。(前からできたっけ?)
2.VideoKeeper2 Ver1.1.0.124

録画設定にNVIDIAのCUDAを使ってエンコードする設定が増えています。NVIDIA製のビデオカードを増設して条件を満たすと設定をONにできるようです。また、ビデオカードを増設するとIntel(R) Quick Sync Videoは使えません。これは、Intelの仕様によるものらしいです。
なお、マイコンソフトの推奨スペックはGTX760以上とのことなのでCUDAによるGPUエンコードはかなりハードルが高く感じます。
3.デインターレースについて
以前の記事「USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた」ではXCapture-1の方でデインターレースされてしまって、30fpsの録画、プレビューしかできないことを書きました。これはスーパーファミコン等の古いゲーム機の疑似NTSCの場合において大きなデメリットでしたが今回この点が改善されています。
以下はアマレコTVの場合です。(VideoKeeper2では60fpsの録画、プレビューはできないようです。 )
アマレコTVの設定画面のデバイス設定にある「デバイス設定」ボタンを押してキャプチャカードのプロパティを開きます。プロパティの「VIDEO DEINTERLACE METHOD」で「WEAVE (NONE)」を選択します。

そうするとXCapture-1の方でデインターレース処理をしなくなります。

XCapture-1の方でデインターレースしないためインターレースの特徴である横シマのノイズが見て取れます。
あとは、アマレコTV側でデインターレース処理の設定をして完了です。今回はスーパーファミコンの疑似NTSCなので「レトロゲーム」を選択します。

これで、60fpsのプレビューや録画が可能。あとは240pに対応してくれれば完璧ですね。

4.CUDAによるGPUエンコード
GTX760以上推奨となっていますが、私が所有している一番高性能なビデオカードがGF240なので心もとないですが、イチかバチかZOTAC GT240 512MB 128BIT DDR5で試してみました。
結論から書くと、今回はスーパーファミコンをS端子で接続してテストしたので推奨スペックを下回るGF240でも問題なく録画できました。ただし、若干画質が悪いように感じるのでそのあたりがビデオカードの性能によるものなのかどうか気になるところです。
■サンプル動画
スーパーファミコンをS端子で接続して録画したサンプル動画です。
ダウンロード | ファイル名 | 内容 |
XCapture1 | xcap_amarectv_60fps_amv3_s2_x264_4mbps | アマレコTVとAMV3ビデオコーデックで録画したものをX264でエンコード。 ファイルサイズがVideoKeeper2と近くなるよう4Mbpsでエンコード。60fps |
xcap_videokeeper2_30fps_cpu(no QSV) | VideoKeeper2でGPU支援機能を使わずに録画したもの。30fps、画質「高」 | |
xcap_videokeeper2_30fps_cuda_gf240 | VideoKeeper2でGPU支援機能のCUDAを使って録画したもの。30fps、画質「高」 | |
SC-512N1 | 以前の記事で公開したサンプル動画です。 SC-512N1-L/DVI スーファミS端子画質比較 を見てください。 |
■サンプル動画の画質比較
感想・・・
今回は使用したビデオカードがGF240と相当低スペックなため何とも言えませんが、推奨スペックのGF760でも同様の画質だとするとCUDAによるGPUエンコードは厳しいような気がします。Intel(R) Quick Sync Video(以下QSV)の方が画質が良いのでQSVを支持したいところですが、QSVはQSVでビデオカードを増設すると使えなくなると言うもどかしさ。
USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた
今回製品版をお借りしたのでざっくり内容を紹介します。

本体など

コンポジット+S端子用のケーブルが2つとUSB3.0ケーブルが同梱されています。
1.XCAPTURE-1の主な特徴
(1) 接続インターフェイスがUSB3.0
(2) 1080p60フレームに対応
(3) HDMI(変換アダプタでDVI-Dも可)、アナログRGB、D端子(変換アダプタでコンポーネントも可)、S端子、コンポジット端子に対応
(4) すべての端子においてスルーアウト可能
(5) CPUのエンコード支援機能「Intel Quick Sync Video」に対応(VideoKeeperr2使用時のみ)
仕様を見る限り、同社製品SC-512N1-L/DVI(以下SC512)と接続インターフェースが異なる以外ほぼ同じスペックのように見えます。
2.USB3.0について
USB3.0については注意が必要ようです。USB3.0なら何でも使えるというわけではないらしいので、公式サイトでよく確認してください。また、USB2.0などの端子に接続すると電源容量の関係で破損する可能性があることも注意書きとして書かれています。この点もよく注意する必要があり上級者向けの製品と言う印象を強く受けました。
今回はマザーボードASRock H77Pro4-Mの背面にあるUSB3.0端子に接続して使いました。
3.インストール
以下のエラーが出てインストーラーが使えなかったため、デバイスマネージャから手動でドライバをインストールしました。

これは権限関係のエラーのようです。
アマレコTVの設定

デバイス名は「CY3014 USB,Analog 01 Capture」、オーディオデバイス名は「CY3014 USB,Analog 01 WaveIn」となっています。
入力端子の切替はSC512と同様「デバイス設定」ボタンを押してキャプチャデバイスのプロパティ画面で行います。
XCAPTURE-1のプロパティ画面

4.キャプチャの様子
(1) ファミリーコンピュータ(疑似NTSC)をコンポジットで接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

一見うまくキャプチャできているように見えますが、29.97fpsでのキャプチャになってしまいます。
挙動はS端子と同じと思われるので詳細は次のスーパーファミコン(S端子)を参照してください。
(2) スーパーファミコン(疑似NTSC)をS端子で接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

一見うまくキャプチャできているように見えます。が・・・
次に720x240p 59.94fpsに設定してキャプチャ。

240pでキャプチャできていますが、キャプチャフレームレートは29.97fps、S端子による240p 60fpsでのキャプチャはSC512同様できないようです。
と、ここで異変に気が付き、再び720x480i 29.97fpsでキャプチャしてみます。
再び720x480i 29.97fpsで動きの激しいシーンをキャプチャ。

(画像をクリックして原寸の画像を見てください)
走行中などの動きの激しいシーンでもくし型のノイズ(コーミングノイズ)が見られません。
通常疑似NTSCの場合2フレームを1枚の画像に合成しキャプチャするため動きの激しいシーンでは次の写真のように
コーミングノイズが確認できるはずですが、XCAPTURE-1ではそれが無く、29.97fpsのプログレッシブ画像としてキャプチャされます。
これではゲーム本来の滑らかな動き(60fps)が再現できず非常に残念です。
SC512による720x480i 29.97fpsキャプチャ。

(画像をクリックして原寸の画像を見てください)
2フレームの異なる画像を1枚の画像に合成してキャプチャするので、動きの激しいシーンではくし型のノイズ(コーミングノイズ)が目立ちます。
この場合であれば、デインターレース処理を施すことで60fpsの滑らかな映像にすることができます。
(3) PlayStationのゲーム(疑似NTSC)をD端子で接続
720x240p 59.94fpsでキャプチャ

この辺りはSC512と同様、非常に良好です。
なお、コンポーネントケーブルは直接XCAPTURE-1に接続できないため、コンポーネント・D端子ケーブルを使いました。
(4) PlayStation2のゲーム(NTSC)をD端子で接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

これまた一見するとうまくキャプチャされていますが、S端子と同様動きの激しいシーンでコーミングノイズがでません。
どうやらXCAPTURE-1の内部でデインターレース処理が施され、処理後のプログレッシブ画像を30fpsでキャプチャするようになっているようです。720x480p 59.94fpsなどのフォーマットも試しましたが、30fpsでしかキャプチャできずS端子と同様厳しい結果です。
XCAPTURE-1のデインターレース処理はピクセル毎にBobとWeaveが適切に選択されているので動き適用型の高度なデインターレース処理が使われていると思われるので、2フレーム程度の遅延が生じている可能性も・・・
このあたりは内部処理を行わないようにするような機能があればいいですね。
(5) PC(1080p 60Hz)をHDMIで接続
1920x1080p 59.94fpsでキャプチャ。

別PCの画面を1920x1080 60Hzに設定してくるくるベンチを実行、HDMIでキャプチャしました。
60fpsの滑らかなプレビューを確認できましたのでUSB3.0の帯域は十分のようです。
5.その他
(1) スケーラーが適用される
入力されるビデオ信号とアマレコTVのフォーマット(解像度)が合わない場合に、XCAPTURE-1の内部でアマレコTVが指定した解像度いっぱいに画像が拡大されます。これでは誤ったフォーマットで使っていてもそれなりにキャプチャできてしまうため無駄に高解像度でキャプチャしてしまう可能性があり、誤っていることに気が付きにくい点でデメリットと言えます。
480i(720x480)のビデオ信号を720p(1280x720)でキャプチャ
XCAPTURE-1 | SC512 |
![]() | ![]() |
スケーラーにより拡大されてキャプチャされる 設定が間違っていることに気が付きにくい | 画面隅に原寸でキャプチャされる 設定ミスに気が付きやすい |
(2) 2画面キャプチャには向かない
XCAPTURE-1の説明書によるとVideoKeeper2は2画面の同時キャプチャが可能ですが、XCAPTURE-1を2つ使った2画面キャプチャは お勧めしませんとあります。
6.まとめ
D端子による疑似NTSCの240pキャプチャとPCの1080pキャプチャは良好ですが、コンポジット、S端子、D端子によるNTSCの480iキャプチャでは60fpsでキャプチャできず残念な結果でした。XCAPTURE-1の内部でデインターレース処理されてしまうのも私的にはマイナス評価です。
コンポジットとS端子についてはSC512の時も書きましたが疑似NTSCを240p 60fpsでキャプチャできるようになってほしいところです。
良い点
(1) USB3.0で1080pをキャプチャできる。
(2) D端子(コンポーネント)なら疑似NTSCを240pでキャプチャできる。
悪い点
(1) NTSCの場合XCAPTURE-1側でデインターレース処理が施され30fpsのプログレッシブ画像でしかキャプチャできない。
(2) コンポジット、S端子の場合、疑似NTSCを240pでキャプチャできない。
(3) スケーラーにより誤ったフォーマットでもそれなりに使えてしまう。
(4) USB2.0ポートでは使えない。また、USB3.0ポートでもホストコントローラーにより非対応の場合がある。
最後に、これは別エントリで書いた方が良いかもしれないけれど、SKNETからUSB3.0接続のHDキャプチャカード「MonsterX U3.0R」が発売されるようです。こちらは入出力端子をHDMIに絞った製品で価格が安めに設定されるようです。
SC-512N1-L/DVI VideoKeeper2 GPUエンコード録画テスト
1.テスト環境
OS | Windows7 x64 Professional SP1 | |
CPU | Intel(R) Core(TM) i5-3470S CPU @ 2.90GHz Ivy Bridge | |
MB | ASRock H77 Pro4-M (Intel H77) | |
Memory | DDR3 1600 16GB(4GBx4 Dual Cannel)read=23.7GB/s write=12.2GB/s | |
HDD | WD25EZRX 2.5TB | |
Software | アマレコTV Ver2.31 + AMV3 Ver3.00i VideoKeeper2 Ver1.1.0.120.9 | |
Capture Card | ||
SC-512N1-L/DVI DVI-D | Driver:1.1.0.121.0, 2013.04.02 | |
Video Source | 別PCのDVI-D出力 1920x1080 60p アマレコTVで1920x1080 60pのくるくるベンチをプレビュー |
2.テスト結果
VideoKeeper2 録画していないとき

VideoKeeper2 CPUエンコード(GPU支援機能:Off) 録画品質:高

VideoKeeprer2 GPUエンコード(GPU支援機能:On) 録画品質:高

アマレコTV AMV3 S3(非可逆)

3.まとめ
CPU | GPU | AMV3 | |
CPU負荷 | 約44% | 約16% | 約18% |
HDD負荷 | 約2.6MB/s | 約2.4MB/s | 約64MB/s |
■録画したビデオファイル
作成されるビデオファイルはCPUエンコードもGPUエンコードもほぼ同じファイルサイズでした。
画質も前々回のF-ZEROのサンプル動画ではキーフレームになるまでゴミが残る部分がありましたが、くるくるベンチの画像ではそれもなく、また、映像ソースがプログレッシブなのでデインターレースフィルタの影響もないため非常にきれいな印象です。
心配されたドロップフレームも下記サンプル動画の648フレーム中にはなく、今回のテストを通してドロップフレームは検出されませんでした(気が付かなかっただけかもしれないけど)。
録画に関しては今回はCPUエンコード、GPUエンコードともにとても良い結果です。特にGPUエンコードではCPU負荷を大幅に下げることができています。
ただし、一つ欠点を上げるなら、録画中VideoKeeper2のプレビューがカクカクになります。
CPUエンコードによる録画では常時カクカク、GPUエンコードは数秒おきにカクカクするので、プレビューの質まで求めるとアマレコTVを使うか、もっと高性能なPCを用意する必要がありそうです。
※ プレビューがカクカクするだけで録画されたビデオファイルに問題はありません。
あと、VideoKeeper2で録画してできるビデオファイルのフレームレートが毎回、微妙に違うけど大丈夫なのかな。
■AMVビデオコーデックとGPUエンコードどっちがCPU負荷少ないの?
上記結果の数値だけみるとGPU エンコードの方が負荷は少ないですが、プレビューがカクカクする点を考慮するといい勝負のように思います。 (カクカクするってことは何かしらやらなければいけない処理を飛ばしているのでその分CPU負荷は低めになる)
前々回の720x480 60pと合わせて考えると、画像サイズが小さい場合AMVビデオコーデックが有利、画像サイズが大きくなるにつれ差が少なくなり、1080pあたりで並ぶと言ったところでしょうか。
1080 60pでドロップフレームが無く、画質もいい、CPU負荷が非常に低いVideoKeeper2のGPUエンコード録画については予想以上に良いものと感じました。
■サンプル動画
VideoKeeper2 GPUエンコード 録画品質「高」 1080 60pのサンプル動画です。
※ 私のPCでこのファイルを直接再生するとスローになるかカクカク再生になります。
これは再生環境の問題で動画ファイルそのもに問題ありません。気になる場合は、皆さんの再生環境に合わせて再エンコード(画像サイズを縮小するなど)して確認してみてください。
ダウンロード
SC-512N1-L/DVI スーファミS端子画質比較
■画質比較

(1) AmaRecTV AMV3
アマレコTVでAMV3を使ってS2可逆で録画したビデオファイルの画像です。
デインターレース処理としてレトロゲームモードを適用し60iを60pとして録画(録画設定のフィルタを使うをON)
。
アマレコTVのプレビュー画面とほぼ同じ画質です。
アマレコTVでは録画、プレビューとも60fpsとなります。
(2) AmaRecTV x264
(1)のビデオファイルをAviUtlとx264を使って再エンコードしたビデオファイルの画像です。
VideoKeeper2の高画質で録画した場合と同程度のビットレートになるように調整(4Mbps)してあります。
(3) VideoKeeper2 GPU
VideoKeeprer2でIntel(R) Quick Sync Video(GPUエンコード支援)を使って録画したビデオファイルの画像です。
VideoKeeper2のデインターレースフィルタ(高)が適用され60iを30pとして録画されます。
また、VideoKeeper2のプレビューも30pとなります。
(4) VideoKeeper2 CPU
VideoKeeper2で録画品質(高)で録画したビデオファイルの画像です。
(3)とほぼ同等の画質、ファイルサイズになるみたいです。
録画、プレビューが30pになるのも同じです。
AMV3 | x264 | VK2GPU | VK2CPU | |
ファイルサイズ | 約517MB | 約22MB | 約21MB | 約22MB |
フレームレート | 60fps | 60fps | 30fps | 30fps |
フレーム数 | 2662 | 2662 | 1361 | 1318 |
録画中CPU負荷 | 約5%※ | N/A※ | 約5% | 約8% |
※ 録画中CPU負荷のアマレコTV(AMV3)はVideoKeeper2の倍のフレームを処理しているため高くなる傾向があります。x264はリアルタイムで処理していないためデータはありません。
■サンプル動画
AMV3の動画はファイルサイズが大きすぎるので除外しますが、ほか3つのサンプル動画です。
ダウンロード
■サンプル動画内のちらつき
VideoKeeprer2で録画した動画は画面左下にあるコースレイアウトの部分がちらつきます。

このちらつきはアマレコTVでは生じないためSC512が原因(キャプチャ段階で生じる)ではなく、VideoKeeper2によるデインターレースフィルタの影響と思われます。 このちらつきは動画だけでなくVideoKeeper2のプレビューでも生じ、タイトル画面の文字など静止している部分で目立ちます。
マイコンソフトSC512N1-L/DVIとVideoKeeper2を使ってみました
ただし、出荷開始は5月中旬とのことです。
マイコンソフトSC512N1-L/DVIの紹介ページ
それに伴い付属のソフトウエアについても公開されましたのでダウンロードして使ってみました。
SC512N1-L/DVI(以下SC512)については以前、記事を書きましたが、その時は付属のソフトウエア(キャプチャソフト)が無かったためアマレコTVを使っての紹介でした。今回は付属するキャプチャソフト「VideoKeeper2」を中心に紹介します。
今回試したこと
・VideoKeeper2の動作
・IntelのGPU支援機能を使った録画機能
・キャプチャカードを2つ使った二画面キャプチャ
1.VideoKeeper2

スーパーファミコンをS端子で接続しキャプチャした様子です。
SC512にスルーアウトが付いたためかキャプチャソフトである「VideoKeeper2」は録画に重点が置かれている印象です。おそらくこの画面を見ながらゲームをして下さいというコンセプトはなく、ゲームプレイはスルーアウトを使ってくださいとなっているものと思われます。
VideoKeeper1では入力切替(コンポーネントとかHDMIとか)が簡単にできたりフルスクリーンにできたりとプレビューの勝手がよかったためそのあたりを期待すると裏切られるかもしれません。SC500N1/DVI(以下SC500)でもVideoKeeper2は使えますので、SC500を持っている人は試してみてはいかがでしょうか。
また、ドライバーも前回の記事から更新されています。

2.IntelのGPU支援機能を使った録画機能
VideoKeeper2ではIntelのCPUに搭載されているGPUを使って動画のエンコード(圧縮処理)を行うことができるようです。これにより録画中のCPU使用率を軽減できるメリットがあります。
ただし、GPUの支援機能を使うには制限が多々あり、基本的にビデオカードの拡張ができません(GeForceとかRadeonとか使えない)。
支援機能はCPU内臓のGPUをメインのビデオカードとして使う必要があります。今回はビデオカードを取り外してテストしました。また、使えるCPUも限られますので注意が必要です。
今回使ったCPUとマザーボード
・Intel(R) Core(TM) i5-3470S CPU @ 2.90GHz Ivy Bridge
・ASRock H77 Pro4-M (Intel H77)
VideoKeeprer2の設定画面

VideoKeeprer2の設定画面で「GPU支援機能」にある「Intel(R) Quick Sync Video」をONにします。CPUが未対応だったり、GeForceなどのビデオカードを使っていると、この設定をONにできません。今回はビデオカードを取り外してオンボードVGAを使うことでこの設定をONにできるようになりました。
VideoKeeper2のウインドウ(タイトルバー)

GPU支援機能が使える条件が整っていると「GPU:Yes」と表示されます。CPUが非対応だったりGeForceなどのビデオカードを使っていると「GPU:No」と表示されます。また、VideoKeeper2の設定のGPU支援機能のOn/Offも後ろに表示されています。
■録画テスト
PlayStation1の疑似NTSCのゲームをPlayStation2の本体でプレイ
コンポーネントケーブルを使ってフォーマット「720x240 60p」でキャプチャ
スケーラーまたはダブラーを使って縦に2倍にした720x480 60pで録画テストしました。
※ キャプチャカードはSC500を使用(データが残っていないけどS512でも同様の結果でした)
録画していないときのCPU使用率は約4%です。

GPU支援なしで録画しているときのCPU使用率は約14%です。

GPU支援ありで録画しているときのCPU使用率は約7%です。

手前味噌ですが、アマレコTVとAMV3ビデオコーデック(S3設定)を使って録画しているときのCPU使用率は約5%です。

GPU支援機能を使うことでCPU使用率を約14%から約7%へ減らすことができました。
GPU支援によるCPU負荷の軽減効果は大きいと感じましたが、純粋にCPU使用率を減らしたい場合はアマレコTVとAMVビデオコーデックの方がまだまだ有利のようです。
3.二画面キャプチャ

SC512N1-L/DVIの最後の"I"が抜けてる・・・
VideoKeeper2では対応するキャプチャカード(SC512やSC500)を2つまで同時に扱うことができます。
今回はSC512とSC500の組み合わせで試してみました。
ただし、ドライバー関連でおそらく多くの人がつまづくと思います。
私の場合、ドライバーはすぐに認識されましたが(デバイスマネージャに2つ表示される)、キャプチャソフトからはビデオソースフィルタが1つしか認識されず、そのため1つのキヤプチャカードしか使えない症状で苦労しました。
結局、何度もビデオキャプチャカードの抜き差しとVideoKeeper2のインストールを繰り返すことで何とか両方使えるようになりましたが、この辺りは使えることを信じて何度もトライするしかないか・・・
インストールさえ乗り切れば後は驚くほど簡単。

今回はSC500側にPS1の雷電IIをコンポーネントで接続、720x240 60pでキャプチャ(画面左)
SC512側にスーパーファミコンのF-ZEROをS端子で接続、720x480 60iでキャプチャ(画面右)
音についても両方のキャプチャカードの音が再生されます。さらにVideoKeeper2のウインドウの左右にある黄緑色のバーをクリックすると音量の調整(0から100%)ができます。
VideoKeeprer2設定画面

レイアウトも何種類か用意されています。
二画面時のスクリーンショットや録画のファイル

スクリーンショットや録画をするとそれぞれ別々のファイルが作成されます。
なお、マイコンソフトのホームページにあるQ&Aに次のような記述があるため、二画面表示の場合はプレビューの遅延が増えるようです。
Q. 弊社キャプチャーカード2枚同時してプレビューすると映像が遅延しているように見える。
A.2画面同時に表示しているときは、双方の映像を同期して表示するため映像が遅延する場合があります。1画面表示の時はプレビューの遅延が少なくなります。
また、直接二画面表示とは関係ありませんが、240 60pでキャプチャできる雷電IIの方は60fpsで比較的滑らかに表示される一方、S端子で接続したF-ZEROの方は30fpsでカクカクした表示となりました。さらに、疑似NTSCに対するデインターレース処理が原因と思いますがF-ZEROの方は多少のちらつきが生じます(録画した映像も同様に30fpsでちらつく動画となります)。
やはりS端子やコンポジット端子にも240 60p対応が望まれるところです。
最後にSC512N1-L/DVIの安定性についてです。
アマレコTVから見るとSC500とSC512について区別は付きません。ドライバーも共通の様なのでSC512の安定性はSC500と同等とみてよさそうです。なので安定性は極めて良いと感じます。ここ1か月ほどSC512を使っていますが致命的な不具合に気が付くことはありませんでした。画面の端が取り込めないこともなさそうだし、遅延も少ないためゲーム用のビデオキャプチャカードとしては最高峰と言えます。が、大抵SC500で十分です。
唯一気が付いたのはPCを起動してからSC512の入力端子を一度も選択せずアマレコTVを起動すると音が正常にキャプチャされない点です。100%再現でき非常にうるさい音が鳴ります。
VideoKeeperなら必ず入力端子を選択するため問題ありませんが、現行のアマレコTVはSC512に対し入力端子の選択ができないため一々デバイスの設定画面でコンポーネントなどの入力端子をクリックしてやる必要があります。
次のアマレコTVで対応できそうなので最終的に問題とはならないかもしれませんが、ドライバーの方でも対応されるといいな。
キャプチャカードVSテレビ 遅延対決
その対策(遅延対策)のために分配器を使ってテレビとキャプチャカードに分けてテレビ画面を見ながらゲームをしましょうと言われています。
キャプチャカードに遅延があることは本当ですが、現在主流の液晶テレビにも遅延は存在します。本来ならそれぞれの遅延がどの程度か調べ、大きい方の遅延から対策をとるのがスマートです。
そこで、液晶テレビの遅延、PC用液晶モニターの遅延、キャプチャカードの遅延について検証したいと思います。
PC用液晶モニターにも遅延がありますが、一般的に液晶テレビより少ないと言われていますので「キャプチャカード+PC用液晶モニターの遅延」と分配した「液晶テレビの遅延」では液晶テレビの遅延の方が大きくなり分配する意味がないケースもあるかもしれません。そのあたりも検証していきます。
■検証方法
前回と同じくくるくるベンチの映像をHDMI分配器で2系統にわけて表示します。
一方を直接液晶テレビ(REGZA 32ZP2)に表示します。
もう一方をSC512でキャプチャしアマレコTVでプレビュー、PC用液晶モニターXL2420Tで表示します。
くるくるベンチ For Direct Draw


■検証に使った機材
機材 | 品番等 | 設定など |
PCモニター(左側) | BenQ XL2420T | AMAオフ インスタントモードON |
液晶テレビ(右側) | 東芝 REGZA 32ZP2 | 映像メニュー「ゲーム」 |
HDMI分配器 | LKV312 | |
カメラ | CASIO EX-ZR300 | 秒間480コマで動画撮影 |
テスト1(液晶テレビとPC用液晶モニターの比較)
キャプチャカードを使わず純粋に液晶テレビとPC用液晶モニターの遅延を比較します。
液晶テレビは東芝のREGZA 32ZP2を使いました。これは32型の倍速液晶で、ゲーム用に遅延の少ない液晶テレビとして高く評価されている製品です。 メーカー公称値として処理遅延0.7フレームを誇ります。
テスト2(キャプチャした場合の比較1080p)
SC512でキャプチャしアマレコTVでプレビュー、XL2420Tで表示したものと液晶テレビを比較します。
キャプチャ環境はEVRのソフトウエアエミュレーションを使い、画面を120Hzに設定。
これはWindows7でもっとも遅延が少なくなる設定です。
以降キャプチャ側はすべてこの条件になります。720pのテストもキャプチャ処理が720pになるだけでキャプチャ用PCの画面設定は1920x1080 120Hzのままです。
テスト3(キャプチャ比較720p)
くるくるベンチを実行しているPCを1280x720 60pに設定しての検証です。
実際のゲーム機やキャプチャ環境では720pが主流ですのでより実践的な検証となります。
32ZP2の公式サイトを見ても遅延が少ないのは1080pの場合と但し書きがされていますので720pの場合はどうなるでしょうか。
実際の使用環境に最も近いのでより詳しく、真っ白の状態から黒く画面が変化する際の検証もします。
テスト4(キャプチャ比較720p Dot by Dot)
液晶テレビのズーム設定を「Dot by Dot」にして検証します。
液晶テレビ側にてスケーラーを使わないことで遅延を減らすことができるでしょうか。
■結果
テスト1(液晶テレビとPC用液晶モニターの比較)
![CIMG0241分配[5923-5934]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/201302142301504d0.jpg)
液晶テレビ32ZP2はPC用液晶モニターXL2420Tより5コマ(約10.4ms、約0.62フレーム)遅れています。
XL2420TはPC用モニターとして1位,2位を争う遅延の少ないモニターなのでゲーム用に定評のある32ZP2であってもこれくらいの差がついてしまうようです。
32ZP2と同じシリーズで画面サイズが一回り小さい26ZP2という製品があるのですが、26ZP2は60Hz液晶パネルの製品で処理遅延の公称値が0.2フレームと32ZP2より0.5フレーム少なくなっています。このテレビであればXL2420Tと良い勝負になるかもしれません。
テスト2(キャプチャした場合の比較1080p)
![CIMG0242キャプ1080EVRS120[10821-10832]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130214230154e4b.jpg)
キャプチャ側が32ZP2より6コマ(約12.5ms、約0.75フレーム)遅れています。
1080pの場合の遅延はこの程度と言えますが、実際は1080pでキャプチャするケースはまだまだ少ない(1080p対応のゲームはごく一部、また1080pでキャプチャできるキャプチャカードはまだまだ高価)のでこの結果はあまり重要ではありません。現在は720pが主流ですので液晶テレビ側にスケーラーなどの処理が加わるため、差が縮まる可能性があります。
テスト3(キャプチャの比較720p)
![CIMG0243キャプ720EVRS120[5385-5396]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130214230156299.jpg)
キャプチャ側が32ZP2より4コマ(約8.3ms、約0.5フレーム)遅れています。
1080pの時より遅延の差が縮まりました。やはり液晶テレビにとって720pのビデオ信号はやや不利に働くようです。
32ZP2の処理遅延0.7フレームと言うのは1080pの場合と但し書きがされている通り、ビデオ信号が変わってくると処理遅延も変わるようです。今回の検証では720p時の32ZP2の処理遅延は0.7+0.25=0.95フレームとなります。
※ 0.25フレームはテスト2とテスト3の結果の差から算出
もう一つ真っ白な状態から真っ黒に変わるケースでの検証結果です。
![白黒遅延CIMG0243キャプ720EVRS120[5466-5477]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130214230144cb0.jpg)
キャプチャ側が32ZP2より2コマ(約4.1ms、約0.25フレーム)遅れています。
また、黒くなり始めるタイミングではなく真っ黒になるまでを観察するとほぼ差がないかキャプチャ側がやや早い結果となっています。
液晶の反応速度まで考慮すると720pの場合においてキャプチャした画面と液晶テレビとで遅延の差はほとんどないと言えます。
テスト4(キャプチャの比較720p Dot by Dot)
![CIMG0244キャプ720EVRS120DbD[1451-1462]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130214230159958.jpg)
720pで液晶テレビの遅延が増えた原因がスケーラーなのかどうか判断するため32ZP2のズーム設定を「Dot by dot」(以下DbD)にした結果です。
キャプチャ側が32ZP2より2コマ(約4.1ms、約0.25フレーム)遅れています。
意外にもDbDにしたらさらにテレビ側の遅延が増えてしまいました。
ここからは憶測になりますが、32ZP2では720pが入力された場合次の通りになるようです。
(1) 1080pと比べ720pはズーム設定にかかわらず一律、約0.25フレーム遅延が増える
(2) ズーム設定による遅延の差はほとんどない。
(3) DbDでは画面の周囲の黒帯を表示する分だけ画面上端の開始タイミングが約3ms遅れる
■まとめ
今回の検証ではビデオキャプチャのプレビュー表示と分配した液晶テレビの表示では遅延に大きな差は生じないと言えるのではないでしょうか。 ビデオキャプチャだから遅延するという認識ではなく、遅延に関してはキャプチャカードや液晶テレビなど個々の製品の性能差に注目したほうがいいように思います。
例えば今回使った液晶テレビ32ZP2は遅延の少なさに定評がある製品ですが、他社の液晶テレビの大半は2フレーム(約33ms)以上の遅延があると言われています(東芝製の液晶テレビでも遅延の大きい製品はあります)。 それでは完全に分配する意味がありません。
同様にビデオキャプチャカードのSC512(SC500)も仕組み上最速で動作しており無駄な遅延がありませんので分配する効果は薄いですが、GV-USB2ではキャプチャカード単体の遅延で64ms程度となってしまいます。この場合は分配する
効果が大きくなります。
すでに所有している液晶テレビの遅延が2フレーム(約33ms)以上と大きい場合は分配器を用意するよりPC用液晶モニターを遅延の少ないものに買い替えた方が良いかもしれませんね。
SC-512N1-L/DVIのプレビュー遅延を検証
今回はSC512でキャプチャした映像をアマレコTVでプレビューした際にどの程度遅延するか検証します。 前回の記事と合わせてご覧ください。
基本的にはSC500を使って以前検証したこの記事と同じ内容になりますが、ハイスピードカメラを使うことでより多くの情報がえられます。また120Hzモニターの効果についても言及します。
■検証方法
前回と同じくくるくるベンチの映像をHDMI分配器で2系統にわけ表示します。
一方を直接モニター(RDT233WX-Z)に表示し基準とします。
もう一方をSC512でキャプチャしアマレコTVでプレビュー、XL2420Tで表示します。

前回の結果から左のモニターは右より7コマ早く表示を開始できる点を考慮して、遅延を算出します。
テスト1(Windows7標準)
Windows7でEVRを使ってプレビューした場合をテストします。画面の設定は60Hzにします。
これはWindows7でアマレコTVを使った場合の一般的なケースです。
テスト2(EVRソフトウエアエミュレーション)
Windows7でデスクトップコンポジション(Aero)を無効にした状態でEVRを使った場合のテストです。

以前の検証によりこの条件では垂直同期待ちを行わないため遅延が少なくなります。
以下、単にEVRと記述した場合はデスクトップコンポジションを有効にしてEVRを使った場合、EVRエミュレーションと書いた場合はデスクトップコンポジションを無効にした場合を指します。
テスト3(120Hz)
EVRエミュレーションに加え、画面を120Hzに設定したテストです。


120HzモニターXL2420Tの特性が遅延に影響するか検証します。
■検証に使った機材
前回と同じです。
・PCモニター1(左側) BenQ XL2420T AMAオフ、インスタントモードON
・PCモニター2(右側) 三菱 RDT233WX-Z スルーモードON、CPオフ、超解像OFF
・HDMI分配器 LKV312
・カメラ CASIO EX-ZR300 秒間480コマで動画撮影
■結果
テスト1(Windows7標準)
![CIMG0228EVR60[8297-8315]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/201302091833537b8.jpg)
右のモニターが2コマ目で表示を開始したのに対し、左は16コマ遅れた18コマ目で表示を開始しています。
前回の結果から左のモニターは右より7コマ早く表示を開始できる点を考慮すると
16+7=23コマ(約47.9ms、 約2.88フレーム)の遅延となります。
※ 秒間480コマで撮影しているので1コマは約2.08ms
テスト2(EVRエミュレーション) | テスト3(120Hz) |
![]() | ![]() |
遅延は4+7=11コマ(約22.9ms、 約1.38フレーム)
となります。
■ティアリングについて
テスト2とテスト3ではレンダラーが垂直同期待ちを行わないためティアリングが生じます。

本来は画面の上端から白くなってきますが、レンダラーが垂直同期待ちをせず直接フロントバッファ(表示用のバッファ)へ画像を書き込むため写真のように画面の途中から白くなります。今回のテスト2、テスト3の結果はこのタイミングが徐々にずれてきて丁度画面の上端から表示が開始されるたところで観察しています。
テスト1は垂直同期待ちを行うためこのようなティアリングは生じませんが画面の表示タイミングを待つためその分遅延が大きくなっています。
■120Hzモニターと遅延の関係について
テスト2とテスト3は60Hzモニターと120Hzモニター(倍速駆動ではなく120Hz入力120Hz表示のいわゆるネイティブ120Hz) の比較となっています。
理論上画面の上端において60Hzと120Hzで差は出ません。今回の検証でもテスト2とテスト3で画面上端では大きな差は見られませんでした。
差が出るのは画面の下方です。

これはリフレッシュ速度(画面を書き換えていく速度)が120Hzの方が早いからです。 理論上、画面の中央では120Hzモニターの方が2コマ分早く表示され有利です。
なお、これらは画面の上端にティアリングが来ている場合の話ですので、ティアリングが画面の中央で生じているなら、
画面の下部では差が小さく、画面の上部で差が大きくなります。
ややっこしいので平均的に見て120Hzモニターの方がリフレッシュ速度の差により2コマ分(約4.2ms、 約0.25フレーム)有利と見るのが妥当と思います。
もう一つ120Hzモニターが有利になるケースとして「垂直同期待ちの待ち時間が短くなる」というのがあります。
テスト2とテスト3では垂直同期待ちを行っていないので結果に差は出ませんがEVRやオーバーレイレンダラーではティアリングが起こらないように垂直同期タイミングが画面の上(正確には垂直帰線期間)に来るのを待ちますがその待ち時間の最大が60Hzモニターの場合約16.7ms弱なのに対し、120Hzモニターでは約8.3ms弱と半分になります。待ち時間の最小はどちらも0msなので平均をとって60Hzモニターでは平均8.3ms待つ可能性がある。
120Hzモニターでは平均4.2ms待つ可能性がある。とし、その差の4.2msが120Hzモニターを使うメリットとみるのが妥当です。
以上をまとめると
項目 | 60Hz | 120Hz | 差(120Hzが有利) | ||
リフレッシュ 速度による差 | 画面上端 | 0コマ | 0コマ | 差は出ない | (1) |
画面中央 | 4コマ | 2コマ | 約4.2ms、 約0.25フレーム | (2) | |
画面下端 | 8コマ | 4コマ | 約8.3ms、 約0.5フレーム | (3) | |
垂直同期待ち | 最小 | 0ms | 0ms | 差は出ない | (4) |
最大 | 約16.7ms | 約8.3ms | 約8.3ms、 約0.5フレーム | (5) | |
平均 | 約8.3ms | 約4.2ms | 約4.2ms、 約0.25フレーム | (6) |
120Hzモニターの利点(遅延)
EVR、オーバーレイレンダラーの場合(2)と(6)の合計の約8.3ms、約0.5フレーム
EVR(エミュレーション)では(2)のみの約4.2ms、 約0.25フレーム
■まとめ
今回のテスト結果よりSC512を使って1920x1080 60pをキャプチャしアマレコTVでプレビューした時の遅延は次のようになります。
レンダラー | 60Hzモニター(実測値) | 120Hzモニター(理論値) |
EVR | 約47.9ms、 約2.88フレーム | 39.6ms、 2.38フレーム |
EVR(エミュレーション) | 約22.9ms、 約1.38フレーム | 18.8ms、 1.13フレーム |
SC-512N1-L/DVIのスルー出力について検証

■検証方法
同じモニターを2つ用意できれば簡単ですが、持っていないのでSC512を挟まない場合と、挟んだ場合の2回に分けて別々にテストして結果を比較して判断します。

スルー出力に遅延が無ければSC512を挟まない場合と挟んだ場合とで同じ結果が出るはずです。
■検証用映像
検証には遅延がわかりやすいように「くるくるべんち For DirectDraw」を用意しました。

くるくるベンチは画面を10分割して右端から1フレームごとに白く塗りつぶしていきます。
10フレーム経つと画面が真っ白になるので今度は10フレームかけて黒く塗りつぶします。
この繰り返しとなっています。
今回のテストでは解像度1920x1080、フレームレート60にして、なるべくモニター側でリサイズなどの余計な処理が入らないようにしています。また、各モニターの設定もできるだけ画像処理をOFFにして余計な遅延が生じないようにしてあります。
■検証に使った機材
機材 | 品番等 | 設定など |
PCモニター1(左側) | BenQ XL2420T | AMAオフ インスタントモードON |
PCモニター2(右側) | 三菱 RDT233WX-Z | スルーモードON CPオフ 超解像OFF |
HDMI分配器 | LKV312 | |
カメラ | CASIO EX-ZR300 | 秒間480コマで動画撮影 |

■テスト1(SC512を挟まない場合)
HDMI用分配器LKV312を使って2つのPCモニターへ分配した様子をハイスピードカメラ(CASIO EX-ZR300)で動画撮影し、出来上がった動画ファイルから連続したビットマップファイルを作成しています。
動画は秒間480コマで撮影したので1コマあたり約2.08msです。またテストしたビデオ信号は60Hzなので8コマ毎にフレーム(画面)が更新され隣の列へ移動する様子がわかります。
![CIMG0226分配[4874-4885]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130206211906457.jpg)
左のモニターは2コマ目で表示が開始されている(画面の上側がほんの少し白くなったコマが表示開始地点です)のに対し、右のモニターは9コマ目で表示が開始されています。これは右のモニターが7コマ分(約14.5ms)遅れていることになります。
左右のモニターが同じであればおそらく同じタイミングで表示が始まるのだと思いますが、今回は機種が違うためこのような違いが生じてしまいます。
■テスト2(SC512を挟んだ場合)
続いて分配器と左側のモニターの間にSC512を挟んでスルー出力※のテストをします。
※ 左のモニターに映っているのはアマレコTVのプレビュー画面ではなくSC512のスルー出力です。
![CIMG0227スルー[7749-7760]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130206211901d2f.jpg)
結果はテスト1と同様に右のモニターが7コマ分遅れているので、
「SC512のHDMIスルー出力に遅延は無い(極めて少ない)」と言っていいようです。
■モニターについて
左のモニター(XL2420T)は120Hz入力、120Hz表示が可能な120Hzモニターです。今回のように60Hzのビデオ信号を入力した場合は、その特性を生かせず倍速液晶と同じ挙動をすると思っていましたが、今回の結果では画面の上方が白くなり始めてから8コマかけて画面の下に向かって白くなっています(No.2からNo.9)。このことから120Hzでは駆動しておらず、60Hzで駆動していることがわかります※。
どうやらXL2420Tは60Hzのビデオ信号が入力された場合、液晶の駆動も60Hzと柔軟に対応できるみたいです。
※ 秒間480コマで撮影しているので8コマは60Hz(60fps)に相当します。
一方、右のモニター(RDT233WX-Z)は倍速液晶(倍速駆動)なので60Hzのビデオ信号を入力した場合、問答無用で120Hzに変換され表示(120Hz駆動)されます※1。
今回の結果では画面の上方が白くなり始めて4コマ(No.1からno.4)で画面下まで白くなっているので液晶が120Hzで駆動している様子がわかります※2。その後の4コマ(No.5からNo.8)では同じ画像を上書きしているので変化がありません。
※1 三菱のサイトには「スルーモードをONにすると倍速補完が無効になります。」とありますが、補完処理は無効になるけど同じフレームが複製されて結局120Hz駆動するようです。60Hzでの駆動は無理でした。
※2 秒間480コマで撮影しているので4コマは120Hz(120fps)に相当します。
一般的に60Hzのビデオ信号を120Hzで駆動させる場合、どうしても0.5フレーム(約8.3ms)以上のタイミング待ち(遅延)が仕組み上必要になりますので、60Hzのビデオ信号を扱う場合において倍速液晶などは遅延の点で不利になります。
一方、60Hzのビデオ信号を60Hzで駆動させた場合はそのような遅延を必要としないので、今回のケースでは等速駆動ができたXL2420Tの方がRDT233WX-Z(倍速駆動)より遅延が少ない結果となっています。
120Hzモニターにも関わらず、60Hzのビデオ信号が入力された場合は遅延を伴う倍速駆動とはならず、60Hzで液晶を駆動することができるXL2420Tは遅延の評価として非常に優秀だと感じました。
後々、キャプチャカードSC512の遅延やXL2420Tを120Hz動作させた場合の様子、液晶テレビとして比較的遅延が少ないとされているREGZA 32ZP2などもテストしてみたいと思います。
■ダウンロード
くるくるベンチ For Direct Draw
1080 60p対応HDキャプチャカード「SC-512N1-L/DVI」使ってみました
マイコンソフトの記事
4Gamerの記事
と合わせて見てください。
■変更点
現行のSC500N1/DVIからの主な変更点は次の通りです。
(1) 1080 60p対応
(2) S端子、コンポジットに対応
(3) スルー出力対応
(4) ソフトウエア強化(Video Keeper Ver2、CPUのエンコード支援機能「Intel Quick Sync Video」対応)
(5) PCIEx1 Gen2.0対応
今回送って頂いたサンプル版ではソフトウエアがドライバーのみなので(4)については不明です。
また、ドライバーもサンプル版のため製品時と異なる可能性が高いです。今回対応できなかった部分も製品版では対応されている可能性もありますので最終的にはマイコンソフトの公式情報で確認して下さい。
今回送られてきたモノ。この他にドライバーが入ったディスクがありました。

※ 写真はサンプル品のため製品に含まれる付属品と異なります。
基盤には入力用の端子と、出力用の端子があり、すべての入力に対し同じ規格のスルー出力ができるとのことです。付属するケーブルも入力用と出力用それぞれ同じものが付属するようです。真ん中はS端子とコンポジット両用。右はコンポーネント用です。
HDMI端子はありませんがDVI-HDMI変換アダプタを使うことでHDMIも扱えます(アダプタはサンプル版には含まれていませんでした)。
■増設
今回使ったマザーボード「ASRook H77 Pro4-M」の仕様です。

ちなみにPCIE Gen(ジェネレーション)1.0の帯域は250MB/s、Gen2.0は500MB/sです。
1080 60pをYUY2の無圧縮でキャプチャする場合に必要な最低帯域は
1920x1080x2x60=約248MB/s
となりますので、理論上Gen1.0では帯域が足りず倍率を4倍にする必要がありましたが、Gen2.0なら倍率1倍でも帯域は足りるようです。
SC512の場合はPCIEのジェネレーションだけGen2.0に対応しているかどうか気をつけましょう。
スロット形状x1 動作モード(倍率)x1 Gen2.0のスロットへ増設しました(上図写真の黄丸)。

4Gemerさんの記事によると出力側の小さい基盤は取り外すことができて、PCIEカード1枚分のスペースでも使えるようです。
PCの背面

■1080 60p
PlayStation3(以下PS3)をコンポーネントケーブルで接続して1080 60pのキャプチャをしてみます。
まず、アマレコTVのフォーマットで「w=1920, h=1080, fps=59.94, fcc=YUY2, bit=16」を選択します。

デバイス設定ボタンを押してキャプチャカードのプロパティから「3/COMPONENT」を選択します。そしてアマレコTVのプレビューを開始します。

PS3の電源ボタンをピッと音がするまで長押しします。PS3の画面出力フォーマットが初期化されるのでSC512の仕様に合わせて設定していきます。

出力端子で「コンポーネント/D端子」を選択します。

解像度の設定です。今回は1080 60pで使いたいので「1080p」のチェックボックスをONにします。(1080p以外が使われてしまうことが無いよう、念のため720pや1080iのチェックボックスはOFFにしておきます)

アマレコTVの画面いっぱいに表示されればSP3本体の設定は完了です。次にゲームの設定(確認)をします。

PS3のゲームを起動してゲーム側の設定も1080 60pになっているか確認します。(写真はGRAN TURISMO5の場合です。ゲームによっては解像度の設定が無い事があります。)

このときアマレコTVのステータスバーに”Cap[59.94fps 0Drop]”と表示されていれば大成功です。
※ PS3のゲームの殆どは720p専用です。その場合1080pで表示できないかPS3のスケーラーにより1080pへ引き伸ばされた表示となります。それらは720pでキャプチャする方が賢明ですので気をつけましょう(一般的にスケーラを通さず720pでキャプチャしたほうが高画質となります)。また、1080pに対応しているゲームでも処理落ちなどの弊害が起こるケースもあるようなので現状1080pを使うメリットはものすごく限られているように思います。今後のゲームに期待しましょう。
■スルー出力
左はアマレコTVのプレビュー、右のモニターにはSC512のスルー出力(コンポーネント)を接続して表示しています。

アマレコTV(キャプチャソフト)を終了してもスルー出力はされるようです。

さすがにPCの電源を落とすとスルー出力も停止します。

PCの起動中でもスルー出力されているので通電さえされていれば利用できるようです。(今回はアナログ系の端子のみ使用したためHDMIなどデジタル系の端子は不明です。)
■ファミコンとコンポジット
ファミコンをコンポジットで接続しSC512のプロパティで「6/COMPOSITE」を選択します。

240p(720x240 59.94)に設定しましたが、プログレッシブでキャプチャはされず480i(インターリーブ)でキャプチャされるようです。写真ではゲーム画面の上半分しかプレビューに映っていません。
480iに設定してキャプチャ

480i(720x480 29.27)に設定すれば正常にキャプチャされますがインターリーブだと240pと比べ17msほど余計に遅延するため残念です。
そこでSC512のコンポーネント用ケーブルの緑端子ににファミコンのコンポジットを接続し、SC512のプロパティで「3/COMPONENT」を選択すると・・・

モノクロ(輝度信号のみ)ではありますが240pでキャプチャできるようになります。

このあたりはコンポジットのまま240pでキャプチャできるようになって欲しいです。
■スーパーファミコンとS端子
スーパーファミコンをS端子で接続し、SC512のプロパティで「7/S-VIDEO」を選択します。

こちらも240p(720x240 59.94)に設定しましたがファミコンのコンポジットと同様480i(インターリーブ)でキャプチャされてしまいます。
右のモニターにはS端子がないのでコンポーネントケーブルをつないだままです(S端子のうち輝度信号のみスルー出力されているようです)。
コンポジットと同様240pでキャプチャできるようになって欲しいです。
■PS1とコンポーネント
PS2の本体でPS1のゲームを実行。コンポーネントで接続しました。

こちらはSC500と同様240p(720x240 59.94)でキャプチャでき完璧です。
■まとめ
最初アマレコTVのプレビューを開始すると「接続に必要な中間フィルターが~」と出て使えませんでしたが、SC500付属のキャプチャソフト「VideoKeeper」で映像を写してからはアマレコTVも使えるようになりました。そのほかは特にトラブルもなくSC500と同じ感覚で利用できました。スルー出力もすんなり使え、キャプチャソフトが起動していなくてもスルー出力が使える点は予想外によかったです。
■気になった点
・コンポジットとS端子の場合擬似NTSCでも240pでキャプチャできず480iになってしまう。
プログレッシブで1フレームずつ流してくれたほうがプレビューの遅延を減らせるので好ましいです。
・信号が無い時(ゲーム機の電源OFFなど)10fps程度の映像がキャプチャソフトへ流れてくる。
できればフォーマットで指定したフレームレートで流してほしいです。
・クロスバーが実装されていないので、入力端子を切り替えるのにキャプチャカードのプロパティを設定しなければならない。
クロスバーでなくてもVideoKeeperでは入力端子の選択ができるので独自のやりようがあるんだと思います。(恐らくDirect Showの)インターフェースを公開して頂けると良いな。
SC512で一番期待していたのがコンポジットやS端子による擬似NTSCの240pキャプチャでした。他のHDキャプチャカードは擬似NTSCに対応してなく、擬似NTSCに対応しているのは安価なSDキャプチャカードになってしまいますが、その殆どがインターリーブでのキャプチャであり、さらに動作タイミングもばらつきがある為遅延の大きい製品しかありません。SC512がコンポジットやS端子でも240pに対応し、このあたりをカバーできる製品になってくれることを期待します。