マイコンソフトXCapture-1用新ドライバを試してみました
XCapture-1
SC-512N1
今回はXCapture-1のドライバの改善点とVideoKeeper2の新機能である「CUDAによるGPUエンコード」を試してみます。以前の記事「USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた」と合わせてご覧ください。
1.XCapture-1用新ドライバ Ver1.1.0.123.4

設定項目がいくつか増えています。

画像の調整(画質調整)もできるようになっています。(前からできたっけ?)
2.VideoKeeper2 Ver1.1.0.124

録画設定にNVIDIAのCUDAを使ってエンコードする設定が増えています。NVIDIA製のビデオカードを増設して条件を満たすと設定をONにできるようです。また、ビデオカードを増設するとIntel(R) Quick Sync Videoは使えません。これは、Intelの仕様によるものらしいです。
なお、マイコンソフトの推奨スペックはGTX760以上とのことなのでCUDAによるGPUエンコードはかなりハードルが高く感じます。
3.デインターレースについて
以前の記事「USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた」ではXCapture-1の方でデインターレースされてしまって、30fpsの録画、プレビューしかできないことを書きました。これはスーパーファミコン等の古いゲーム機の疑似NTSCの場合において大きなデメリットでしたが今回この点が改善されています。
以下はアマレコTVの場合です。(VideoKeeper2では60fpsの録画、プレビューはできないようです。 )
アマレコTVの設定画面のデバイス設定にある「デバイス設定」ボタンを押してキャプチャカードのプロパティを開きます。プロパティの「VIDEO DEINTERLACE METHOD」で「WEAVE (NONE)」を選択します。

そうするとXCapture-1の方でデインターレース処理をしなくなります。

XCapture-1の方でデインターレースしないためインターレースの特徴である横シマのノイズが見て取れます。
あとは、アマレコTV側でデインターレース処理の設定をして完了です。今回はスーパーファミコンの疑似NTSCなので「レトロゲーム」を選択します。

これで、60fpsのプレビューや録画が可能。あとは240pに対応してくれれば完璧ですね。

4.CUDAによるGPUエンコード
GTX760以上推奨となっていますが、私が所有している一番高性能なビデオカードがGF240なので心もとないですが、イチかバチかZOTAC GT240 512MB 128BIT DDR5で試してみました。
結論から書くと、今回はスーパーファミコンをS端子で接続してテストしたので推奨スペックを下回るGF240でも問題なく録画できました。ただし、若干画質が悪いように感じるのでそのあたりがビデオカードの性能によるものなのかどうか気になるところです。
■サンプル動画
スーパーファミコンをS端子で接続して録画したサンプル動画です。
ダウンロード | ファイル名 | 内容 |
XCapture1 | xcap_amarectv_60fps_amv3_s2_x264_4mbps | アマレコTVとAMV3ビデオコーデックで録画したものをX264でエンコード。 ファイルサイズがVideoKeeper2と近くなるよう4Mbpsでエンコード。60fps |
xcap_videokeeper2_30fps_cpu(no QSV) | VideoKeeper2でGPU支援機能を使わずに録画したもの。30fps、画質「高」 | |
xcap_videokeeper2_30fps_cuda_gf240 | VideoKeeper2でGPU支援機能のCUDAを使って録画したもの。30fps、画質「高」 | |
SC-512N1 | 以前の記事で公開したサンプル動画です。 SC-512N1-L/DVI スーファミS端子画質比較 を見てください。 |
■サンプル動画の画質比較
感想・・・
今回は使用したビデオカードがGF240と相当低スペックなため何とも言えませんが、推奨スペックのGF760でも同様の画質だとするとCUDAによるGPUエンコードは厳しいような気がします。Intel(R) Quick Sync Video(以下QSV)の方が画質が良いのでQSVを支持したいところですが、QSVはQSVでビデオカードを増設すると使えなくなると言うもどかしさ。
USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた
今回製品版をお借りしたのでざっくり内容を紹介します。

本体など

コンポジット+S端子用のケーブルが2つとUSB3.0ケーブルが同梱されています。
1.XCAPTURE-1の主な特徴
(1) 接続インターフェイスがUSB3.0
(2) 1080p60フレームに対応
(3) HDMI(変換アダプタでDVI-Dも可)、アナログRGB、D端子(変換アダプタでコンポーネントも可)、S端子、コンポジット端子に対応
(4) すべての端子においてスルーアウト可能
(5) CPUのエンコード支援機能「Intel Quick Sync Video」に対応(VideoKeeperr2使用時のみ)
仕様を見る限り、同社製品SC-512N1-L/DVI(以下SC512)と接続インターフェースが異なる以外ほぼ同じスペックのように見えます。
2.USB3.0について
USB3.0については注意が必要ようです。USB3.0なら何でも使えるというわけではないらしいので、公式サイトでよく確認してください。また、USB2.0などの端子に接続すると電源容量の関係で破損する可能性があることも注意書きとして書かれています。この点もよく注意する必要があり上級者向けの製品と言う印象を強く受けました。
今回はマザーボードASRock H77Pro4-Mの背面にあるUSB3.0端子に接続して使いました。
3.インストール
以下のエラーが出てインストーラーが使えなかったため、デバイスマネージャから手動でドライバをインストールしました。

これは権限関係のエラーのようです。
アマレコTVの設定

デバイス名は「CY3014 USB,Analog 01 Capture」、オーディオデバイス名は「CY3014 USB,Analog 01 WaveIn」となっています。
入力端子の切替はSC512と同様「デバイス設定」ボタンを押してキャプチャデバイスのプロパティ画面で行います。
XCAPTURE-1のプロパティ画面

4.キャプチャの様子
(1) ファミリーコンピュータ(疑似NTSC)をコンポジットで接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

一見うまくキャプチャできているように見えますが、29.97fpsでのキャプチャになってしまいます。
挙動はS端子と同じと思われるので詳細は次のスーパーファミコン(S端子)を参照してください。
(2) スーパーファミコン(疑似NTSC)をS端子で接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

一見うまくキャプチャできているように見えます。が・・・
次に720x240p 59.94fpsに設定してキャプチャ。

240pでキャプチャできていますが、キャプチャフレームレートは29.97fps、S端子による240p 60fpsでのキャプチャはSC512同様できないようです。
と、ここで異変に気が付き、再び720x480i 29.97fpsでキャプチャしてみます。
再び720x480i 29.97fpsで動きの激しいシーンをキャプチャ。

(画像をクリックして原寸の画像を見てください)
走行中などの動きの激しいシーンでもくし型のノイズ(コーミングノイズ)が見られません。
通常疑似NTSCの場合2フレームを1枚の画像に合成しキャプチャするため動きの激しいシーンでは次の写真のように
コーミングノイズが確認できるはずですが、XCAPTURE-1ではそれが無く、29.97fpsのプログレッシブ画像としてキャプチャされます。
これではゲーム本来の滑らかな動き(60fps)が再現できず非常に残念です。
SC512による720x480i 29.97fpsキャプチャ。

(画像をクリックして原寸の画像を見てください)
2フレームの異なる画像を1枚の画像に合成してキャプチャするので、動きの激しいシーンではくし型のノイズ(コーミングノイズ)が目立ちます。
この場合であれば、デインターレース処理を施すことで60fpsの滑らかな映像にすることができます。
(3) PlayStationのゲーム(疑似NTSC)をD端子で接続
720x240p 59.94fpsでキャプチャ

この辺りはSC512と同様、非常に良好です。
なお、コンポーネントケーブルは直接XCAPTURE-1に接続できないため、コンポーネント・D端子ケーブルを使いました。
(4) PlayStation2のゲーム(NTSC)をD端子で接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

これまた一見するとうまくキャプチャされていますが、S端子と同様動きの激しいシーンでコーミングノイズがでません。
どうやらXCAPTURE-1の内部でデインターレース処理が施され、処理後のプログレッシブ画像を30fpsでキャプチャするようになっているようです。720x480p 59.94fpsなどのフォーマットも試しましたが、30fpsでしかキャプチャできずS端子と同様厳しい結果です。
XCAPTURE-1のデインターレース処理はピクセル毎にBobとWeaveが適切に選択されているので動き適用型の高度なデインターレース処理が使われていると思われるので、2フレーム程度の遅延が生じている可能性も・・・
このあたりは内部処理を行わないようにするような機能があればいいですね。
(5) PC(1080p 60Hz)をHDMIで接続
1920x1080p 59.94fpsでキャプチャ。

別PCの画面を1920x1080 60Hzに設定してくるくるベンチを実行、HDMIでキャプチャしました。
60fpsの滑らかなプレビューを確認できましたのでUSB3.0の帯域は十分のようです。
5.その他
(1) スケーラーが適用される
入力されるビデオ信号とアマレコTVのフォーマット(解像度)が合わない場合に、XCAPTURE-1の内部でアマレコTVが指定した解像度いっぱいに画像が拡大されます。これでは誤ったフォーマットで使っていてもそれなりにキャプチャできてしまうため無駄に高解像度でキャプチャしてしまう可能性があり、誤っていることに気が付きにくい点でデメリットと言えます。
480i(720x480)のビデオ信号を720p(1280x720)でキャプチャ
XCAPTURE-1 | SC512 |
![]() | ![]() |
スケーラーにより拡大されてキャプチャされる 設定が間違っていることに気が付きにくい | 画面隅に原寸でキャプチャされる 設定ミスに気が付きやすい |
(2) 2画面キャプチャには向かない
XCAPTURE-1の説明書によるとVideoKeeper2は2画面の同時キャプチャが可能ですが、XCAPTURE-1を2つ使った2画面キャプチャは お勧めしませんとあります。
6.まとめ
D端子による疑似NTSCの240pキャプチャとPCの1080pキャプチャは良好ですが、コンポジット、S端子、D端子によるNTSCの480iキャプチャでは60fpsでキャプチャできず残念な結果でした。XCAPTURE-1の内部でデインターレース処理されてしまうのも私的にはマイナス評価です。
コンポジットとS端子についてはSC512の時も書きましたが疑似NTSCを240p 60fpsでキャプチャできるようになってほしいところです。
良い点
(1) USB3.0で1080pをキャプチャできる。
(2) D端子(コンポーネント)なら疑似NTSCを240pでキャプチャできる。
悪い点
(1) NTSCの場合XCAPTURE-1側でデインターレース処理が施され30fpsのプログレッシブ画像でしかキャプチャできない。
(2) コンポジット、S端子の場合、疑似NTSCを240pでキャプチャできない。
(3) スケーラーにより誤ったフォーマットでもそれなりに使えてしまう。
(4) USB2.0ポートでは使えない。また、USB3.0ポートでもホストコントローラーにより非対応の場合がある。
最後に、これは別エントリで書いた方が良いかもしれないけれど、SKNETからUSB3.0接続のHDキャプチャカード「MonsterX U3.0R」が発売されるようです。こちらは入出力端子をHDMIに絞った製品で価格が安めに設定されるようです。