マイコンソフトHDキャプチャカードの新ドライバ v1.1.0.140
http://micomsoft.co.jp/sc-512n1.htm
変更点
(1) 古いパソコンの特殊な解像度へ対応
(2) 未圧縮AVIでの録画に対応 (ビデオキーパー2)
(3) 画質調整プロパティの実装
(4) DirectShow解像度の一覧表示を、「固定式」から「検出式」に変更
(5) 疑似RGBモード追加
(6) 長時間の録画において音声がズレにくくなりました (ビデオキーパー2???)
(7) 法人向けに関する改善
(1)はX68000への対応です。
(2)この記事の最後 に書かれているようなケースへの対応と思われます。業務用途なので一般の利用者には関係ないでしょう。
(3)は一般の利用者でも恩恵を受ける部分なので後述します。
(4)は一見デメリット(それも致命的な)と読み取りましたが、実際はそうでもなさそうです。後述します。
(5)はYUY2でキャプチャしたものをソフトウエア処理によりRGBへ変換するとのことなので、以前私が試用したアルファ版から進展なさそうです。現状、このフォーマとを選択する意味はありません。むしろ、YUY2でキャプチャしたものはYUY2のまま扱うほうがロスが少ないので「疑似RGB」は使わない方がいいと思われます。
(6)はドライバレベルの改善なのかビデオキーパー2の改善なのか不明です。
(7)は一般の利用者には関係なさそうです。
と言うことで、一般の利用者が関係するのは3,4なのでそのあたりを試してみました。
新ドライバ v1.1.0.140

画質調整のプロパティ

このプロパティが使えるようになった
調整なし

調整あり (明るさを下げて、コントラストと鮮やかさを上げた場合)

今回はPlayStation4をHDMIで接続してデジタルキャプチャしているので正確なキャプチャ結果を望む場合、調整する必要は無いと思いますが、このプロパティを使って好みの画質へ調整できます。
最後に一番気になるフォーマット一覧の仕様変更です。
文面を見ると
「ゲーム機を起動して解像度が確定してからアマレコTVを起動しないと使えなくなった。」
「アマレコTV起動中にゲーム機の解像度が変化したら、その都度、アマレコTVを再起動しなければならなくなった(プリセットの切り替えでは対応できない、もしくはエラーが発生する)。」
と読み取れたので絶望感が漂いましたが、あくまで特殊な解像度(「1024x600」、「640x400」、「640(512)x384」など)を使う場合の話のようなので、1080p、720p、480pなどは常にリストに存在していて今まで通りの使い方ができます。

ゲーム機の電源を切って、No Signal状態でアマレコTVを起動しても一般的な解像度は今まで通り選択できる。
まとめ
いろいろな機能が追加されたように見えますが、一般の利用者に恩恵があるのは画質調整の一点のみと思われます。
ちょっと使った限りではデメリットを感じなかったので、画質調整が必要な人は試してみてはいかがでしょうか。
USB3.0対応HDキャプチャカード「XCAPTURE-1」を使ってみた
今回製品版をお借りしたのでざっくり内容を紹介します。

本体など

コンポジット+S端子用のケーブルが2つとUSB3.0ケーブルが同梱されています。
1.XCAPTURE-1の主な特徴
(1) 接続インターフェイスがUSB3.0
(2) 1080p60フレームに対応
(3) HDMI(変換アダプタでDVI-Dも可)、アナログRGB、D端子(変換アダプタでコンポーネントも可)、S端子、コンポジット端子に対応
(4) すべての端子においてスルーアウト可能
(5) CPUのエンコード支援機能「Intel Quick Sync Video」に対応(VideoKeeperr2使用時のみ)
仕様を見る限り、同社製品SC-512N1-L/DVI(以下SC512)と接続インターフェースが異なる以外ほぼ同じスペックのように見えます。
2.USB3.0について
USB3.0については注意が必要ようです。USB3.0なら何でも使えるというわけではないらしいので、公式サイトでよく確認してください。また、USB2.0などの端子に接続すると電源容量の関係で破損する可能性があることも注意書きとして書かれています。この点もよく注意する必要があり上級者向けの製品と言う印象を強く受けました。
今回はマザーボードASRock H77Pro4-Mの背面にあるUSB3.0端子に接続して使いました。
3.インストール
以下のエラーが出てインストーラーが使えなかったため、デバイスマネージャから手動でドライバをインストールしました。

これは権限関係のエラーのようです。
アマレコTVの設定

デバイス名は「CY3014 USB,Analog 01 Capture」、オーディオデバイス名は「CY3014 USB,Analog 01 WaveIn」となっています。
入力端子の切替はSC512と同様「デバイス設定」ボタンを押してキャプチャデバイスのプロパティ画面で行います。
XCAPTURE-1のプロパティ画面

4.キャプチャの様子
(1) ファミリーコンピュータ(疑似NTSC)をコンポジットで接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

一見うまくキャプチャできているように見えますが、29.97fpsでのキャプチャになってしまいます。
挙動はS端子と同じと思われるので詳細は次のスーパーファミコン(S端子)を参照してください。
(2) スーパーファミコン(疑似NTSC)をS端子で接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

一見うまくキャプチャできているように見えます。が・・・
次に720x240p 59.94fpsに設定してキャプチャ。

240pでキャプチャできていますが、キャプチャフレームレートは29.97fps、S端子による240p 60fpsでのキャプチャはSC512同様できないようです。
と、ここで異変に気が付き、再び720x480i 29.97fpsでキャプチャしてみます。
再び720x480i 29.97fpsで動きの激しいシーンをキャプチャ。

(画像をクリックして原寸の画像を見てください)
走行中などの動きの激しいシーンでもくし型のノイズ(コーミングノイズ)が見られません。
通常疑似NTSCの場合2フレームを1枚の画像に合成しキャプチャするため動きの激しいシーンでは次の写真のように
コーミングノイズが確認できるはずですが、XCAPTURE-1ではそれが無く、29.97fpsのプログレッシブ画像としてキャプチャされます。
これではゲーム本来の滑らかな動き(60fps)が再現できず非常に残念です。
SC512による720x480i 29.97fpsキャプチャ。

(画像をクリックして原寸の画像を見てください)
2フレームの異なる画像を1枚の画像に合成してキャプチャするので、動きの激しいシーンではくし型のノイズ(コーミングノイズ)が目立ちます。
この場合であれば、デインターレース処理を施すことで60fpsの滑らかな映像にすることができます。
(3) PlayStationのゲーム(疑似NTSC)をD端子で接続
720x240p 59.94fpsでキャプチャ

この辺りはSC512と同様、非常に良好です。
なお、コンポーネントケーブルは直接XCAPTURE-1に接続できないため、コンポーネント・D端子ケーブルを使いました。
(4) PlayStation2のゲーム(NTSC)をD端子で接続
720x480i 29.97fpsでキャプチャ。

これまた一見するとうまくキャプチャされていますが、S端子と同様動きの激しいシーンでコーミングノイズがでません。
どうやらXCAPTURE-1の内部でデインターレース処理が施され、処理後のプログレッシブ画像を30fpsでキャプチャするようになっているようです。720x480p 59.94fpsなどのフォーマットも試しましたが、30fpsでしかキャプチャできずS端子と同様厳しい結果です。
XCAPTURE-1のデインターレース処理はピクセル毎にBobとWeaveが適切に選択されているので動き適用型の高度なデインターレース処理が使われていると思われるので、2フレーム程度の遅延が生じている可能性も・・・
このあたりは内部処理を行わないようにするような機能があればいいですね。
(5) PC(1080p 60Hz)をHDMIで接続
1920x1080p 59.94fpsでキャプチャ。

別PCの画面を1920x1080 60Hzに設定してくるくるベンチを実行、HDMIでキャプチャしました。
60fpsの滑らかなプレビューを確認できましたのでUSB3.0の帯域は十分のようです。
5.その他
(1) スケーラーが適用される
入力されるビデオ信号とアマレコTVのフォーマット(解像度)が合わない場合に、XCAPTURE-1の内部でアマレコTVが指定した解像度いっぱいに画像が拡大されます。これでは誤ったフォーマットで使っていてもそれなりにキャプチャできてしまうため無駄に高解像度でキャプチャしてしまう可能性があり、誤っていることに気が付きにくい点でデメリットと言えます。
480i(720x480)のビデオ信号を720p(1280x720)でキャプチャ
XCAPTURE-1 | SC512 |
![]() | ![]() |
スケーラーにより拡大されてキャプチャされる 設定が間違っていることに気が付きにくい | 画面隅に原寸でキャプチャされる 設定ミスに気が付きやすい |
(2) 2画面キャプチャには向かない
XCAPTURE-1の説明書によるとVideoKeeper2は2画面の同時キャプチャが可能ですが、XCAPTURE-1を2つ使った2画面キャプチャは お勧めしませんとあります。
6.まとめ
D端子による疑似NTSCの240pキャプチャとPCの1080pキャプチャは良好ですが、コンポジット、S端子、D端子によるNTSCの480iキャプチャでは60fpsでキャプチャできず残念な結果でした。XCAPTURE-1の内部でデインターレース処理されてしまうのも私的にはマイナス評価です。
コンポジットとS端子についてはSC512の時も書きましたが疑似NTSCを240p 60fpsでキャプチャできるようになってほしいところです。
良い点
(1) USB3.0で1080pをキャプチャできる。
(2) D端子(コンポーネント)なら疑似NTSCを240pでキャプチャできる。
悪い点
(1) NTSCの場合XCAPTURE-1側でデインターレース処理が施され30fpsのプログレッシブ画像でしかキャプチャできない。
(2) コンポジット、S端子の場合、疑似NTSCを240pでキャプチャできない。
(3) スケーラーにより誤ったフォーマットでもそれなりに使えてしまう。
(4) USB2.0ポートでは使えない。また、USB3.0ポートでもホストコントローラーにより非対応の場合がある。
最後に、これは別エントリで書いた方が良いかもしれないけれど、SKNETからUSB3.0接続のHDキャプチャカード「MonsterX U3.0R」が発売されるようです。こちらは入出力端子をHDMIに絞った製品で価格が安めに設定されるようです。
SC-512N1-L/DVI VideoKeeper2 GPUエンコード録画テスト
1.テスト環境
OS | Windows7 x64 Professional SP1 | |
CPU | Intel(R) Core(TM) i5-3470S CPU @ 2.90GHz Ivy Bridge | |
MB | ASRock H77 Pro4-M (Intel H77) | |
Memory | DDR3 1600 16GB(4GBx4 Dual Cannel)read=23.7GB/s write=12.2GB/s | |
HDD | WD25EZRX 2.5TB | |
Software | アマレコTV Ver2.31 + AMV3 Ver3.00i VideoKeeper2 Ver1.1.0.120.9 | |
Capture Card | ||
SC-512N1-L/DVI DVI-D | Driver:1.1.0.121.0, 2013.04.02 | |
Video Source | 別PCのDVI-D出力 1920x1080 60p アマレコTVで1920x1080 60pのくるくるベンチをプレビュー |
2.テスト結果
VideoKeeper2 録画していないとき

VideoKeeper2 CPUエンコード(GPU支援機能:Off) 録画品質:高

VideoKeeprer2 GPUエンコード(GPU支援機能:On) 録画品質:高

アマレコTV AMV3 S3(非可逆)

3.まとめ
CPU | GPU | AMV3 | |
CPU負荷 | 約44% | 約16% | 約18% |
HDD負荷 | 約2.6MB/s | 約2.4MB/s | 約64MB/s |
■録画したビデオファイル
作成されるビデオファイルはCPUエンコードもGPUエンコードもほぼ同じファイルサイズでした。
画質も前々回のF-ZEROのサンプル動画ではキーフレームになるまでゴミが残る部分がありましたが、くるくるベンチの画像ではそれもなく、また、映像ソースがプログレッシブなのでデインターレースフィルタの影響もないため非常にきれいな印象です。
心配されたドロップフレームも下記サンプル動画の648フレーム中にはなく、今回のテストを通してドロップフレームは検出されませんでした(気が付かなかっただけかもしれないけど)。
録画に関しては今回はCPUエンコード、GPUエンコードともにとても良い結果です。特にGPUエンコードではCPU負荷を大幅に下げることができています。
ただし、一つ欠点を上げるなら、録画中VideoKeeper2のプレビューがカクカクになります。
CPUエンコードによる録画では常時カクカク、GPUエンコードは数秒おきにカクカクするので、プレビューの質まで求めるとアマレコTVを使うか、もっと高性能なPCを用意する必要がありそうです。
※ プレビューがカクカクするだけで録画されたビデオファイルに問題はありません。
あと、VideoKeeper2で録画してできるビデオファイルのフレームレートが毎回、微妙に違うけど大丈夫なのかな。
■AMVビデオコーデックとGPUエンコードどっちがCPU負荷少ないの?
上記結果の数値だけみるとGPU エンコードの方が負荷は少ないですが、プレビューがカクカクする点を考慮するといい勝負のように思います。 (カクカクするってことは何かしらやらなければいけない処理を飛ばしているのでその分CPU負荷は低めになる)
前々回の720x480 60pと合わせて考えると、画像サイズが小さい場合AMVビデオコーデックが有利、画像サイズが大きくなるにつれ差が少なくなり、1080pあたりで並ぶと言ったところでしょうか。
1080 60pでドロップフレームが無く、画質もいい、CPU負荷が非常に低いVideoKeeper2のGPUエンコード録画については予想以上に良いものと感じました。
■サンプル動画
VideoKeeper2 GPUエンコード 録画品質「高」 1080 60pのサンプル動画です。
※ 私のPCでこのファイルを直接再生するとスローになるかカクカク再生になります。
これは再生環境の問題で動画ファイルそのもに問題ありません。気になる場合は、皆さんの再生環境に合わせて再エンコード(画像サイズを縮小するなど)して確認してみてください。
ダウンロード
SC-512N1-L/DVI スーファミS端子画質比較
■画質比較

(1) AmaRecTV AMV3
アマレコTVでAMV3を使ってS2可逆で録画したビデオファイルの画像です。
デインターレース処理としてレトロゲームモードを適用し60iを60pとして録画(録画設定のフィルタを使うをON)
。
アマレコTVのプレビュー画面とほぼ同じ画質です。
アマレコTVでは録画、プレビューとも60fpsとなります。
(2) AmaRecTV x264
(1)のビデオファイルをAviUtlとx264を使って再エンコードしたビデオファイルの画像です。
VideoKeeper2の高画質で録画した場合と同程度のビットレートになるように調整(4Mbps)してあります。
(3) VideoKeeper2 GPU
VideoKeeprer2でIntel(R) Quick Sync Video(GPUエンコード支援)を使って録画したビデオファイルの画像です。
VideoKeeper2のデインターレースフィルタ(高)が適用され60iを30pとして録画されます。
また、VideoKeeper2のプレビューも30pとなります。
(4) VideoKeeper2 CPU
VideoKeeper2で録画品質(高)で録画したビデオファイルの画像です。
(3)とほぼ同等の画質、ファイルサイズになるみたいです。
録画、プレビューが30pになるのも同じです。
AMV3 | x264 | VK2GPU | VK2CPU | |
ファイルサイズ | 約517MB | 約22MB | 約21MB | 約22MB |
フレームレート | 60fps | 60fps | 30fps | 30fps |
フレーム数 | 2662 | 2662 | 1361 | 1318 |
録画中CPU負荷 | 約5%※ | N/A※ | 約5% | 約8% |
※ 録画中CPU負荷のアマレコTV(AMV3)はVideoKeeper2の倍のフレームを処理しているため高くなる傾向があります。x264はリアルタイムで処理していないためデータはありません。
■サンプル動画
AMV3の動画はファイルサイズが大きすぎるので除外しますが、ほか3つのサンプル動画です。
ダウンロード
■サンプル動画内のちらつき
VideoKeeprer2で録画した動画は画面左下にあるコースレイアウトの部分がちらつきます。

このちらつきはアマレコTVでは生じないためSC512が原因(キャプチャ段階で生じる)ではなく、VideoKeeper2によるデインターレースフィルタの影響と思われます。 このちらつきは動画だけでなくVideoKeeper2のプレビューでも生じ、タイトル画面の文字など静止している部分で目立ちます。
SC-512N1-L/DVIのスルー出力について検証

■検証方法
同じモニターを2つ用意できれば簡単ですが、持っていないのでSC512を挟まない場合と、挟んだ場合の2回に分けて別々にテストして結果を比較して判断します。

スルー出力に遅延が無ければSC512を挟まない場合と挟んだ場合とで同じ結果が出るはずです。
■検証用映像
検証には遅延がわかりやすいように「くるくるべんち For DirectDraw」を用意しました。

くるくるベンチは画面を10分割して右端から1フレームごとに白く塗りつぶしていきます。
10フレーム経つと画面が真っ白になるので今度は10フレームかけて黒く塗りつぶします。
この繰り返しとなっています。
今回のテストでは解像度1920x1080、フレームレート60にして、なるべくモニター側でリサイズなどの余計な処理が入らないようにしています。また、各モニターの設定もできるだけ画像処理をOFFにして余計な遅延が生じないようにしてあります。
■検証に使った機材
機材 | 品番等 | 設定など |
PCモニター1(左側) | BenQ XL2420T | AMAオフ インスタントモードON |
PCモニター2(右側) | 三菱 RDT233WX-Z | スルーモードON CPオフ 超解像OFF |
HDMI分配器 | LKV312 | |
カメラ | CASIO EX-ZR300 | 秒間480コマで動画撮影 |

■テスト1(SC512を挟まない場合)
HDMI用分配器LKV312を使って2つのPCモニターへ分配した様子をハイスピードカメラ(CASIO EX-ZR300)で動画撮影し、出来上がった動画ファイルから連続したビットマップファイルを作成しています。
動画は秒間480コマで撮影したので1コマあたり約2.08msです。またテストしたビデオ信号は60Hzなので8コマ毎にフレーム(画面)が更新され隣の列へ移動する様子がわかります。
![CIMG0226分配[4874-4885]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130206211906457.jpg)
左のモニターは2コマ目で表示が開始されている(画面の上側がほんの少し白くなったコマが表示開始地点です)のに対し、右のモニターは9コマ目で表示が開始されています。これは右のモニターが7コマ分(約14.5ms)遅れていることになります。
左右のモニターが同じであればおそらく同じタイミングで表示が始まるのだと思いますが、今回は機種が違うためこのような違いが生じてしまいます。
■テスト2(SC512を挟んだ場合)
続いて分配器と左側のモニターの間にSC512を挟んでスルー出力※のテストをします。
※ 左のモニターに映っているのはアマレコTVのプレビュー画面ではなくSC512のスルー出力です。
![CIMG0227スルー[7749-7760]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130206211901d2f.jpg)
結果はテスト1と同様に右のモニターが7コマ分遅れているので、
「SC512のHDMIスルー出力に遅延は無い(極めて少ない)」と言っていいようです。
■モニターについて
左のモニター(XL2420T)は120Hz入力、120Hz表示が可能な120Hzモニターです。今回のように60Hzのビデオ信号を入力した場合は、その特性を生かせず倍速液晶と同じ挙動をすると思っていましたが、今回の結果では画面の上方が白くなり始めてから8コマかけて画面の下に向かって白くなっています(No.2からNo.9)。このことから120Hzでは駆動しておらず、60Hzで駆動していることがわかります※。
どうやらXL2420Tは60Hzのビデオ信号が入力された場合、液晶の駆動も60Hzと柔軟に対応できるみたいです。
※ 秒間480コマで撮影しているので8コマは60Hz(60fps)に相当します。
一方、右のモニター(RDT233WX-Z)は倍速液晶(倍速駆動)なので60Hzのビデオ信号を入力した場合、問答無用で120Hzに変換され表示(120Hz駆動)されます※1。
今回の結果では画面の上方が白くなり始めて4コマ(No.1からno.4)で画面下まで白くなっているので液晶が120Hzで駆動している様子がわかります※2。その後の4コマ(No.5からNo.8)では同じ画像を上書きしているので変化がありません。
※1 三菱のサイトには「スルーモードをONにすると倍速補完が無効になります。」とありますが、補完処理は無効になるけど同じフレームが複製されて結局120Hz駆動するようです。60Hzでの駆動は無理でした。
※2 秒間480コマで撮影しているので4コマは120Hz(120fps)に相当します。
一般的に60Hzのビデオ信号を120Hzで駆動させる場合、どうしても0.5フレーム(約8.3ms)以上のタイミング待ち(遅延)が仕組み上必要になりますので、60Hzのビデオ信号を扱う場合において倍速液晶などは遅延の点で不利になります。
一方、60Hzのビデオ信号を60Hzで駆動させた場合はそのような遅延を必要としないので、今回のケースでは等速駆動ができたXL2420Tの方がRDT233WX-Z(倍速駆動)より遅延が少ない結果となっています。
120Hzモニターにも関わらず、60Hzのビデオ信号が入力された場合は遅延を伴う倍速駆動とはならず、60Hzで液晶を駆動することができるXL2420Tは遅延の評価として非常に優秀だと感じました。
後々、キャプチャカードSC512の遅延やXL2420Tを120Hz動作させた場合の様子、液晶テレビとして比較的遅延が少ないとされているREGZA 32ZP2などもテストしてみたいと思います。
■ダウンロード
くるくるベンチ For Direct Draw
1080 60p対応HDキャプチャカード「SC-512N1-L/DVI」使ってみました
マイコンソフトの記事
4Gamerの記事
と合わせて見てください。
■変更点
現行のSC500N1/DVIからの主な変更点は次の通りです。
(1) 1080 60p対応
(2) S端子、コンポジットに対応
(3) スルー出力対応
(4) ソフトウエア強化(Video Keeper Ver2、CPUのエンコード支援機能「Intel Quick Sync Video」対応)
(5) PCIEx1 Gen2.0対応
今回送って頂いたサンプル版ではソフトウエアがドライバーのみなので(4)については不明です。
また、ドライバーもサンプル版のため製品時と異なる可能性が高いです。今回対応できなかった部分も製品版では対応されている可能性もありますので最終的にはマイコンソフトの公式情報で確認して下さい。
今回送られてきたモノ。この他にドライバーが入ったディスクがありました。

※ 写真はサンプル品のため製品に含まれる付属品と異なります。
基盤には入力用の端子と、出力用の端子があり、すべての入力に対し同じ規格のスルー出力ができるとのことです。付属するケーブルも入力用と出力用それぞれ同じものが付属するようです。真ん中はS端子とコンポジット両用。右はコンポーネント用です。
HDMI端子はありませんがDVI-HDMI変換アダプタを使うことでHDMIも扱えます(アダプタはサンプル版には含まれていませんでした)。
■増設
今回使ったマザーボード「ASRook H77 Pro4-M」の仕様です。

ちなみにPCIE Gen(ジェネレーション)1.0の帯域は250MB/s、Gen2.0は500MB/sです。
1080 60pをYUY2の無圧縮でキャプチャする場合に必要な最低帯域は
1920x1080x2x60=約248MB/s
となりますので、理論上Gen1.0では帯域が足りず倍率を4倍にする必要がありましたが、Gen2.0なら倍率1倍でも帯域は足りるようです。
SC512の場合はPCIEのジェネレーションだけGen2.0に対応しているかどうか気をつけましょう。
スロット形状x1 動作モード(倍率)x1 Gen2.0のスロットへ増設しました(上図写真の黄丸)。

4Gemerさんの記事によると出力側の小さい基盤は取り外すことができて、PCIEカード1枚分のスペースでも使えるようです。
PCの背面

■1080 60p
PlayStation3(以下PS3)をコンポーネントケーブルで接続して1080 60pのキャプチャをしてみます。
まず、アマレコTVのフォーマットで「w=1920, h=1080, fps=59.94, fcc=YUY2, bit=16」を選択します。

デバイス設定ボタンを押してキャプチャカードのプロパティから「3/COMPONENT」を選択します。そしてアマレコTVのプレビューを開始します。

PS3の電源ボタンをピッと音がするまで長押しします。PS3の画面出力フォーマットが初期化されるのでSC512の仕様に合わせて設定していきます。

出力端子で「コンポーネント/D端子」を選択します。

解像度の設定です。今回は1080 60pで使いたいので「1080p」のチェックボックスをONにします。(1080p以外が使われてしまうことが無いよう、念のため720pや1080iのチェックボックスはOFFにしておきます)

アマレコTVの画面いっぱいに表示されればSP3本体の設定は完了です。次にゲームの設定(確認)をします。

PS3のゲームを起動してゲーム側の設定も1080 60pになっているか確認します。(写真はGRAN TURISMO5の場合です。ゲームによっては解像度の設定が無い事があります。)

このときアマレコTVのステータスバーに”Cap[59.94fps 0Drop]”と表示されていれば大成功です。
※ PS3のゲームの殆どは720p専用です。その場合1080pで表示できないかPS3のスケーラーにより1080pへ引き伸ばされた表示となります。それらは720pでキャプチャする方が賢明ですので気をつけましょう(一般的にスケーラを通さず720pでキャプチャしたほうが高画質となります)。また、1080pに対応しているゲームでも処理落ちなどの弊害が起こるケースもあるようなので現状1080pを使うメリットはものすごく限られているように思います。今後のゲームに期待しましょう。
■スルー出力
左はアマレコTVのプレビュー、右のモニターにはSC512のスルー出力(コンポーネント)を接続して表示しています。

アマレコTV(キャプチャソフト)を終了してもスルー出力はされるようです。

さすがにPCの電源を落とすとスルー出力も停止します。

PCの起動中でもスルー出力されているので通電さえされていれば利用できるようです。(今回はアナログ系の端子のみ使用したためHDMIなどデジタル系の端子は不明です。)
■ファミコンとコンポジット
ファミコンをコンポジットで接続しSC512のプロパティで「6/COMPOSITE」を選択します。

240p(720x240 59.94)に設定しましたが、プログレッシブでキャプチャはされず480i(インターリーブ)でキャプチャされるようです。写真ではゲーム画面の上半分しかプレビューに映っていません。
480iに設定してキャプチャ

480i(720x480 29.27)に設定すれば正常にキャプチャされますがインターリーブだと240pと比べ17msほど余計に遅延するため残念です。
そこでSC512のコンポーネント用ケーブルの緑端子ににファミコンのコンポジットを接続し、SC512のプロパティで「3/COMPONENT」を選択すると・・・

モノクロ(輝度信号のみ)ではありますが240pでキャプチャできるようになります。

このあたりはコンポジットのまま240pでキャプチャできるようになって欲しいです。
■スーパーファミコンとS端子
スーパーファミコンをS端子で接続し、SC512のプロパティで「7/S-VIDEO」を選択します。

こちらも240p(720x240 59.94)に設定しましたがファミコンのコンポジットと同様480i(インターリーブ)でキャプチャされてしまいます。
右のモニターにはS端子がないのでコンポーネントケーブルをつないだままです(S端子のうち輝度信号のみスルー出力されているようです)。
コンポジットと同様240pでキャプチャできるようになって欲しいです。
■PS1とコンポーネント
PS2の本体でPS1のゲームを実行。コンポーネントで接続しました。

こちらはSC500と同様240p(720x240 59.94)でキャプチャでき完璧です。
■まとめ
最初アマレコTVのプレビューを開始すると「接続に必要な中間フィルターが~」と出て使えませんでしたが、SC500付属のキャプチャソフト「VideoKeeper」で映像を写してからはアマレコTVも使えるようになりました。そのほかは特にトラブルもなくSC500と同じ感覚で利用できました。スルー出力もすんなり使え、キャプチャソフトが起動していなくてもスルー出力が使える点は予想外によかったです。
■気になった点
・コンポジットとS端子の場合擬似NTSCでも240pでキャプチャできず480iになってしまう。
プログレッシブで1フレームずつ流してくれたほうがプレビューの遅延を減らせるので好ましいです。
・信号が無い時(ゲーム機の電源OFFなど)10fps程度の映像がキャプチャソフトへ流れてくる。
できればフォーマットで指定したフレームレートで流してほしいです。
・クロスバーが実装されていないので、入力端子を切り替えるのにキャプチャカードのプロパティを設定しなければならない。
クロスバーでなくてもVideoKeeperでは入力端子の選択ができるので独自のやりようがあるんだと思います。(恐らくDirect Showの)インターフェースを公開して頂けると良いな。
SC512で一番期待していたのがコンポジットやS端子による擬似NTSCの240pキャプチャでした。他のHDキャプチャカードは擬似NTSCに対応してなく、擬似NTSCに対応しているのは安価なSDキャプチャカードになってしまいますが、その殆どがインターリーブでのキャプチャであり、さらに動作タイミングもばらつきがある為遅延の大きい製品しかありません。SC512がコンポジットやS端子でも240pに対応し、このあたりをカバーできる製品になってくれることを期待します。