SC-512N1-L/DVIのスルー出力について検証

■検証方法
同じモニターを2つ用意できれば簡単ですが、持っていないのでSC512を挟まない場合と、挟んだ場合の2回に分けて別々にテストして結果を比較して判断します。

スルー出力に遅延が無ければSC512を挟まない場合と挟んだ場合とで同じ結果が出るはずです。
■検証用映像
検証には遅延がわかりやすいように「くるくるべんち For DirectDraw」を用意しました。

くるくるベンチは画面を10分割して右端から1フレームごとに白く塗りつぶしていきます。
10フレーム経つと画面が真っ白になるので今度は10フレームかけて黒く塗りつぶします。
この繰り返しとなっています。
今回のテストでは解像度1920x1080、フレームレート60にして、なるべくモニター側でリサイズなどの余計な処理が入らないようにしています。また、各モニターの設定もできるだけ画像処理をOFFにして余計な遅延が生じないようにしてあります。
■検証に使った機材
機材 | 品番等 | 設定など |
PCモニター1(左側) | BenQ XL2420T | AMAオフ インスタントモードON |
PCモニター2(右側) | 三菱 RDT233WX-Z | スルーモードON CPオフ 超解像OFF |
HDMI分配器 | LKV312 | |
カメラ | CASIO EX-ZR300 | 秒間480コマで動画撮影 |

■テスト1(SC512を挟まない場合)
HDMI用分配器LKV312を使って2つのPCモニターへ分配した様子をハイスピードカメラ(CASIO EX-ZR300)で動画撮影し、出来上がった動画ファイルから連続したビットマップファイルを作成しています。
動画は秒間480コマで撮影したので1コマあたり約2.08msです。またテストしたビデオ信号は60Hzなので8コマ毎にフレーム(画面)が更新され隣の列へ移動する様子がわかります。
![CIMG0226分配[4874-4885]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130206211906457.jpg)
左のモニターは2コマ目で表示が開始されている(画面の上側がほんの少し白くなったコマが表示開始地点です)のに対し、右のモニターは9コマ目で表示が開始されています。これは右のモニターが7コマ分(約14.5ms)遅れていることになります。
左右のモニターが同じであればおそらく同じタイミングで表示が始まるのだと思いますが、今回は機種が違うためこのような違いが生じてしまいます。
■テスト2(SC512を挟んだ場合)
続いて分配器と左側のモニターの間にSC512を挟んでスルー出力※のテストをします。
※ 左のモニターに映っているのはアマレコTVのプレビュー画面ではなくSC512のスルー出力です。
![CIMG0227スルー[7749-7760]](https://blog-imgs-54-origin.fc2.com/a/m/a/amalabo/20130206211901d2f.jpg)
結果はテスト1と同様に右のモニターが7コマ分遅れているので、
「SC512のHDMIスルー出力に遅延は無い(極めて少ない)」と言っていいようです。
■モニターについて
左のモニター(XL2420T)は120Hz入力、120Hz表示が可能な120Hzモニターです。今回のように60Hzのビデオ信号を入力した場合は、その特性を生かせず倍速液晶と同じ挙動をすると思っていましたが、今回の結果では画面の上方が白くなり始めてから8コマかけて画面の下に向かって白くなっています(No.2からNo.9)。このことから120Hzでは駆動しておらず、60Hzで駆動していることがわかります※。
どうやらXL2420Tは60Hzのビデオ信号が入力された場合、液晶の駆動も60Hzと柔軟に対応できるみたいです。
※ 秒間480コマで撮影しているので8コマは60Hz(60fps)に相当します。
一方、右のモニター(RDT233WX-Z)は倍速液晶(倍速駆動)なので60Hzのビデオ信号を入力した場合、問答無用で120Hzに変換され表示(120Hz駆動)されます※1。
今回の結果では画面の上方が白くなり始めて4コマ(No.1からno.4)で画面下まで白くなっているので液晶が120Hzで駆動している様子がわかります※2。その後の4コマ(No.5からNo.8)では同じ画像を上書きしているので変化がありません。
※1 三菱のサイトには「スルーモードをONにすると倍速補完が無効になります。」とありますが、補完処理は無効になるけど同じフレームが複製されて結局120Hz駆動するようです。60Hzでの駆動は無理でした。
※2 秒間480コマで撮影しているので4コマは120Hz(120fps)に相当します。
一般的に60Hzのビデオ信号を120Hzで駆動させる場合、どうしても0.5フレーム(約8.3ms)以上のタイミング待ち(遅延)が仕組み上必要になりますので、60Hzのビデオ信号を扱う場合において倍速液晶などは遅延の点で不利になります。
一方、60Hzのビデオ信号を60Hzで駆動させた場合はそのような遅延を必要としないので、今回のケースでは等速駆動ができたXL2420Tの方がRDT233WX-Z(倍速駆動)より遅延が少ない結果となっています。
120Hzモニターにも関わらず、60Hzのビデオ信号が入力された場合は遅延を伴う倍速駆動とはならず、60Hzで液晶を駆動することができるXL2420Tは遅延の評価として非常に優秀だと感じました。
後々、キャプチャカードSC512の遅延やXL2420Tを120Hz動作させた場合の様子、液晶テレビとして比較的遅延が少ないとされているREGZA 32ZP2などもテストしてみたいと思います。
■ダウンロード
くるくるベンチ For Direct Draw
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